コリドラスの繁殖難易度は高い?
コリドラスの交雑やハイブリッドって何?
繁殖しやすいコリドラスの種類は?
コリドラスの繁殖時期はいつ頃?
コリドラスの繁殖方法を知りたい。
こんなコリドラスの繁殖に関する疑問についてご紹介いたします。
コリドラスの繁殖難易度
底砂の上でモフモフと餌を探す姿が可愛らしいコリドラスは、飼育が比較的容易なため、アクアリウム初心者の方でも育てやすい熱帯魚として高い人気があります。
コリドラスはたくさんの種類が存在するので、お気に入りの個体を探すのもまた楽しいものです。
そんなコリドラスですが、お気に入りの種類を見つけて飼育していたら、自分の手で繁殖させてみたくなることも多いはずです。
実際のところ、コリドラスの繁殖は難しい方なのでしょうか?
実はコリドラスの繁殖難易度はそれほど高くなく、繁殖しやすい熱帯魚とも言えます。
種類にもよりますが、多くのコリドラス種は繁殖が容易なため、お気に入りの個体を増やして育てる楽しみを味わう事ができるのです。
このようにコリドラスは、アクアリウム初心者の方でも飼育がしやすいだけでなく、繁殖もさせやすい熱帯魚として人気が高い品種です。
コリドラスの交雑・ハイブリッドとは
現在コリドラスには、学名が記載されているものだけでも166種類いるとされています。
たくさんの種類がいるコリドラスですが、驚くべきことに時には別種同士で交雑繁殖して、ハイブリット種が生まれることがあります。
交雑とはかなり近しい種類の有性生殖を行う生物間でのみ発生する交配で雑種の繁殖が行われることです。ハイブリッドも異種のものを組み合わせたものという意味なので意味合いは同じです。
例えば、コリドラスエヴァリナエというコロンビア原産のコリドラスは、自然環境下でコリドラスの別種同士が交雑繁殖した結果生まれたハイブリット種だと言われています。
コリドラスエヴァリナエには交雑の種類によって3タイプあると言われており、その中のタイプⅠは、コリドラスアークアタスとコリドラスパンク(レウコメラス)との交雑の結果生まれた品種だという説が有力です。
また、人工交雑でも新種が生まれています。
人気の高いコリドラスパンダとコリドラスジュリーを掛け合わせて作り出した「コリドラスジュリパン」という種類です。
このように、コリドラスは異種間でも交配し、それぞれの特徴を持ったハイブリット種が生まれる事があります。
しかし、全てのコリドラス種が交雑する訳ではありません。
コリドラスは基本的に同種が複数いると同種で群を作ります。そして、同じ種類同士で繁殖します。
例えば、コリドラスパンダとコリドラスジュリーを10匹ずつ同じ水槽に入れていたとしても、基本的にはパンダはパンダ同士、ジュリーはジュリー同士で群を作ります。
そして、繁殖行動も同種同士で行います。
ですので、基本的には複数種を同じ水槽で同時に飼育していたとしても、異種間では繁殖しないものです。
ですがその可能性はゼロではありません。
そのため、それぞれの種ごとの繁殖を望むならば、別の種類のコリドラスとの混泳はさせず、一種類ごとに飼育するようにしましょう。
もし、ハイブリット種を作り出したい、もしくは偶然生まれてしまったという場合には、生まれたハイブリット種はご自身で楽しむだけに留めた方が良いでしょう。
さまざまなハイブリット種がコリドラス市場に出てしまうと、コリドラスの天然の種類の保存が難しくなります。
また、生まれたハイブリット種の特徴が次世代に引き継がれる保証もありません。
そのため、作り出した、もしくは生まれてしまったハイブリット種に関しては、ご自身の水槽で大切に育ててあげた方が良いですね。
以上のように、コリドラスは異種間同士で交雑し、ハイブリット種が生まれるケースがあります。
異なる種類のコリドラスを混泳させる場合には、交雑の可能性がある事を覚えておくと良いでしょう。
コリドラスの繁殖と種類の関係
コリドラスは育てやすく繁殖させやすい種類の熱帯魚ですが、100以上の種類が存在するコリドラス全てが繁殖させやすいと考えて良いのでしょうか?
それとも、種類により繁殖のしやすさに違いはあるのでしょうか?
実は、コリドラスの繁殖のしやすさは、種類によって難易度が変わります。
初心者でも簡単に繁殖しやすい種類もいれば、ほとんど繁殖しない種類もいます。
では、繁殖が難しい種類、優しい種類にはそれぞれどのようなコリドラス種がいるのでしょうか?
コリドラスの種類の違いによる繁殖難易度を測る簡単な目安として、「流通量の多い少ない」があります。
結論から言いますと、流通量の多いコリドラス種ほど繁殖が簡単です。
つまり、どこのアクアショップやホームセンターでもよく売られていて頻繁に見かける種類ほど、繁殖が簡単だと言えます。
どこでもよく見かける種類というのは、日本国内で繁殖させたブリード個体が多いです。
つまり、どんどん繁殖させられるので、常に市場に出回っているということなんですね。
また、これらの流通量が多い個体は値段も安く抑えられています。
逆に、流通量が少なく、滅多にお目にかかれないレアリティーの高い種類ほど、一般的に繁殖難易度が高いです。
また、このような個体はワイルド(天然)物が多いのも特徴です。
そして、流通量が少ないため価格もビックリするほど高いものもいます。
まとめると、「流通量が多く価格が安い種類ほど繁殖が簡単」だと言えます。
具体的には、次のようなコリドラス種が繁殖がしやすいと言えます。
- コリドラスピグミー
- コリドラスジュリー
- コリドラスパンダ
- コリドラスステルバイ
- コリドラスアエネウス(赤コリ)
- コリドラスパレアタス(青コリ)
逆に繁殖難易度が高い種類は次のような種類です。
- コリドラスゴッセイ
- コリドラスアークアタス
- コリドラスパンク(レウコメラス)
この他、ロングノーズ種のコリドラスは稚魚の育成が難しく、繁殖しにくと言われています。
以上のように、基本的には繁殖がしやすいコリドラスですが、種類によっては難しい種類もいます。
お気に入りの種類の繁殖にチャレンジするのが一番ですが、気に入った種類が繁殖難易度が高い場合には、成功確率が低くなってしまいます。
また、気に入った個体がレアな種類の場合には、そもそも繁殖に必要な匹数を揃えることすら難しいケースも少なくありません。
そのため、まずは安価で流通量が多く、繁殖させやすい種類の中からお気に入りの種類を見つけて、繁殖にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
コリドラスの繁殖時期
飼育しているコリドラスを繁殖させる場合、繁殖時期などは決まっているのでしょうか?
飼育下のコリドラスは、条件が合えばいつでも繁殖可能です。
自然界に生きる野生のコリドラスの場合、雨季や台風が多い時期が繁殖時期となります。
これは、雨季や台風による大量の雨により、川の水温やpHが変化することが引き金となって繁殖行動を起こすからだと言われています。
ですが、飼育下のコリドラスは繁殖するための条件さえ合えば、いつでも繁殖します。
季節的な繁殖時期ではないですが、コリドラスの成長年数という意味合いでの繁殖時期はあります。
コリドラスは体が十分に成長し成熟しないと繁殖しません。
そして、この成熟までに要する期間は、ブリード個体とワイルド個体で異なります。
ブリード個体は1年ほど、ワイルド個体は約5年ほど成熟にかかると言われています。
そのため、幼魚の段階でブリード個体のコリドラスを購入した場合、半年以上経たないと繁殖行動は起こしません。
ワイルド個体の幼魚の場合には4年以上かかる可能性があります。
このように、繁殖目的でコリドラスのオスとメスを購入してきても、体が成熟していなければ繁殖しないので注意してください。
その場合は、まずは成熟するまでしっかりと育ててあげましょう。
ここで一つの疑問が出てくるはずです。
なぜブリード個体とワイルド個体でそこまで成熟する期間が違うのでしょう?
コリドラスのワイルド個体はブリード個体よりも体力があり、一般的に長生きの個体が多いものです。
小型と言われるジュリーやパンダ、ステルバイなどでも10年以上生きる個体も珍しくありません。
寿命が長い生物ほど成熟して繁殖可能になるまで時間がかかります。
このため、寿命の長いワイルド個体は成熟まで時間がかかるのではないか? という考え方です。
実はワイルド個体の成熟期間と寿命が本来のコリドラスの生態なのかもしれません。
現在多く流通しているパンダなどのコリドラスの多くはブリード個体です。
これらブリード個体は長く人工的に交配しているうちに、成長と成熟が早い個体が生まれていき、また、これにより生体の繁殖スピードが上がり、市場に出回る個体数も増えたのではないか?とも考えられます。
そのため、一般に市場に流通するブリード個体の多くが短命な傾向になり、その代わり成熟が早くなったのではないかと考えます。
コリドラスの繁殖方法
コリドラスが成長して成熟したら繁殖が可能になります。
それでは、コリドラスの繁殖方法とはどのようなものなのでしょうか?
また、何か繁殖のために用意するものはあるのでしょうか?
コリドラスは飼育している水槽でそのまま自然繁殖しますので繁殖のために特別な物を用意する必要はありません。
ただ、稚魚を育てる為の容器やサテライト水槽はあった方が良いでしょう。
自然繁殖させる場合には稚魚用の容器は無くても大丈夫です。
ただし、自然繁殖だと稚魚の生存率が下がってしまうため、稚魚の生存率を高めたいのであれば、卵を産卵箱で孵化させる事をおすすめします。
コリドラスは体が成熟したオスとメスを一緒に飼育していれば、自然に繁殖行動を起こし産卵します。
ですが、なかなか繁殖行動を起こさないケースもあります。
そこで以下では、コリドラスが繁殖しやすい方法・条件をご紹介します。
- メスを多めにする(オス1にメス2程度の割合)
- 親魚の健康状態を良好にする
- 栄養価の高い餌をしっかり与える
- 水槽は45cm~60cmと広めが良い
- できればコリドラスだけの単独飼育を行う
- 混泳の場合には隠れ家を多く用意する
- 流木や水草を入れる
- 水温24℃程度、水質は弱酸性から中性
- 水換えによる繁殖行動誘発も一つの方法
まずは成熟したオスとメスを用意します。
この時、メスの数を多めにした方が繁殖の成功率が高まります。
割合としてはオス1匹に対してメス2匹くらいが良いでしょう。
できれば10匹前後と数が多い方が繁殖しやすくなるので、オス3~4匹、メス6~8匹くらいが良いでしょう。
せっかく用意した親魚の体調が悪ければ繁殖どころではありません。
よってまずは、親魚の健康を良好に保つことが第一です。
そのためにはしっかりと栄養を与えることが不可欠となります。
繁殖行動にはただでさえ体力を使うので、高栄養価の餌をしっかり与えて健康状態を保ち、体力を付けさせる事が大切です。
高栄養価の人工飼料のほか、赤虫やイトメ、ブラインシュリンプといった高タンパクの生き餌を与えると良いですね。
高栄養価の人工飼料としては、「ジャパンペットコミュニケーションズ アドバンスフードコリドラス」がおすすめです。
コリドラスの繁殖を考えているならば、飼育水槽は45cm~60cmの物が好ましいです。
どうしても飼育匹数が多くなるので、30cm水槽のような小型の水槽だと水質管理が難しくなります。
水質が悪化するとコリドラスの体調も崩れ病気になってしまうので、水質とコリドラスの健康維持のためにも、大きめの水槽で飼育することをおすすめします。
そして、繁殖を考えるならコリドラス単独飼育が望ましいです。
なぜなら、混泳水槽だと他の混泳魚のストレスで繁殖しない事があるからです。
また、産卵したとしても、産み落とした卵を他の混泳魚に食べられてしまう恐れがあります。
そのため、コリドラスを繁殖させる時には単独飼育の方が繁殖させやすいのです。
どうしても混泳水槽でしか繁殖させられない場合には、流木や土管、水草などのコリドラスの隠れ家となる場所を多めに用意してあげましょう。
単独飼育の場合も流木や水草などを入れます。これはコリドラスの卵を回収しやすくする為です。
コリドラスは表面が硬めの場所に卵を産み付けます。
そのため、水槽面に産み付けることがとても多いです。
もちろん水槽面に産んでくれても良いのですが、卵の回収が少し面倒です。
流木や水草に産み付けてくれれば、これらを一旦水槽から出して確実に卵を回収することができます。
水草は少し硬めの「アヌビス・ナナ」や「アマゾンソード」がおすすめです。
これらを回収しやすいように、小さめの流木などに括り付けて水槽に入れると良いですね。
次に、水温は24℃程度、水質はpH6~7の弱酸性から中性にします。
コリドラスが最も快適に過ごせる水温と水質にしてあげましょう。
しかし中には、水温や水質が一定だと繁殖スイッチが入らず、いつまでも繁殖行動を起こさない場合もあります。
そのような時には、水換えで水温に変化をつけてあげるのも一つの方法です。
前述のように、野生のコリドラスは雨季や台風で川の水量が増すことでの水温・水質変化を引き金に繁殖行動を起こします。
飼育下でも水換えで水温差をつけ、上記の習性を利用して繁殖行動を引き起こさせるという方法になります。
しかしこれは少々危険な方法でもあります。
水温差が大きい場合、そのショックでコリドラスが死んでしまう可能性があるからです。
そのため、もし行うならば、水温差は2℃~3℃ほどに止めるように慎重に行ってください。
また、水温が20℃を下回らないように注意しましょう。
水温が20℃を下回ると白点病を発症しやすくなります。
よって、下げても22℃程度の水温までにしてください。
コリドラスの産卵兆候Tポジション
産卵前の兆候としては、オスがメスを追いかけ回す様子が見られるようになります。
そして、メスがオスを受け入れペアが成立すると、メスがオスのお腹に口を付ける「Tポジション」という格好が見られます。
これはコリドラス特有の繁殖行動で、オスの精子をメスが口で吸い込み、腸管を経由して卵に精子を放出するという受精方法です。
このTポジションが見られた後は、卵が産み落とされていないか、毎日チェックしてください。
そして、卵を見つけたら回収し、別容器に移して孵化させましょう。
以上がコリドラスの繁殖方法です。
是非お気に入りのコリドラスで繁殖にチャレンジしてみてください!
コリドラスの繁殖まとめ
- コリドラスは繁殖難易度が低く繁殖しやすい熱帯魚
- コリドラスは別種でも交雑繁殖しハイブリット種が生まれることがある
- コリドラスピグミー、コリドラスジュリー、コリドラスパンダ、コリドラスステルバイなどは繁殖しやすい
- コリドラスの種類によっては繁殖難易度が高いものもいる
- 一般的に流通量が少ない種類ほど繁殖難易度が高い