
プラティといえば、オレンジや赤、黄色といった温かみのある体色が最大の魅力です。
ところが、飼い始めたときと比べて「なんだか色が薄くなってきた」と感じたことがある方も少なくないはずです。
実は、プラティの体色が薄くなる原因のほとんどは、餌と飼育環境の二点に集約されます。
逆にいえば、この二点をきちんと整えてやるだけで、購入時以上に美しい発色を取り戻すことも十分に可能です。
体色が薄くなる仕組みを知る
色揚げについて考えるうえで、まず魚の体色がどのように作られるのかを理解しておくと対策を立てやすくなります。
プラティのような熱帯魚が持つ赤やオレンジの色素の多くはカロテノイドと呼ばれる成分によるものです。
カロテノイドは黄色から赤色にかけての色素の総称で、カロテノイドを多く含む餌を与えることで色揚げ効果が期待できます。
重要なのは、魚の体色を構成する色素は外的要因、つまり餌から吸収されているという点です。
魚は自らカロテノイドを体内で合成することができないため、餌として外から取り込むしか発色を維持する方法がありません。
ショップで購入したばかりのプラティが色鮮やかなのは、それまでに色揚げ成分を含む餌を与えられてきたからであることが多く、自宅での飼育に切り替えたあとに餌が変わると徐々に色が抜けていくのはこのためです。
色揚げに有効な餌の選び方
色揚げを目的とした餌選びでとくに注目したいのがアスタキサンチンという成分です。
赤い色素の発色にはカロテノイドやアスタキサンチンが必要で、ブラインシュリンプや赤虫、色揚げ用の餌などにこれらが多く含まれています。
アスタキサンチンはエビやカニといった甲殻類に豊富に含まれる赤色の色素で、食物連鎖を通じて魚の体内に取り込まれていきます。
市販品でいえば、GEXのワイルドフレークプロバイオは消化に配慮した善玉菌と色揚げ効果のある成分が含まれたフレークで、熱帯魚の体色をより鮮やかにすることができます。
また、テトラのクリル-Eは色揚げ効果が期待でき、天然のオキアミを使用した凍結乾燥フードで嗜好性が非常に高い製品です。
ただし、色揚げ効果の強い餌には注意点もあります。
色揚げ作用の強い餌は与えすぎると消化不良を起こすことがあり、給餌量の3分の1程度を目安に与えることが推奨されています。
色揚げ用の餌はあくまで補助的なサプリメントとして位置づけ、主食となる通常の人工飼料に組み合わせて使うのが賢明な方法です。
生き餌による色揚げ効果
人工飼料に加えて、生き餌を取り入れることも発色改善に効果的です。
プラティは雑食性なので、人工飼料を中心にたまにブラインシュリンプなどの生餌を与えてあげると良いでしょう。
ブラインシュリンプは栄養価が高いだけでなく、アスタキサンチンを豊富に含んでいるため、色揚げと健康維持の両面で非常に優れた選択肢です。
冷凍赤虫も同様に色揚げ効果が期待でき、嗜好性も高いのでプラティがよく食べてくれます。
稚魚の頃から生き餌を与えて育てると、成魚になったときに非常に鮮やかな体色に仕上がることが多いといわれています。
底砂と水槽背面の色が発色を左右する
餌だけが色揚げの手段ではありません。
魚の体色はいわゆる保護色でもあり、レイアウトの底砂やアクセサリーが白いと色が薄まる場合があります。
これは魚が周囲の明るさに合わせて体色を調整する生理的な仕組みによるもので、明るい環境では体色を薄くし、暗い環境では濃くする性質があります。
黒いバックスクリーンを使うと周囲が黒いほど体色が濃くなる魚の保護色作用を利用でき、背面だけでなく左右側面にも貼るとより効果があります。
底砂についても同様で、白い砂利よりも暗い色合いの大磯砂や黒い砂を使うほうがプラティの発色が映えやすくなります。
プラティは弱アルカリ性の水質を好むので、ソイルよりも大磯砂のような砂利がおすすめです。
底砂の色選びは水質管理と色揚げ、両方の観点から大磯砂が合理的な選択といえます。
照明管理とストレスの関係
照明によって水槽内を明るく照らすと、生体の体色が変化し明るくなる場合があります。
照明は単に見た目を整えるためのものではなく、プラティの体内リズムを整える役割も担っています。
照明をつけすぎてしまうと、魚たちのバイオリズムが狂いがちになりストレスを与えてしまいます。
点灯時間は1日7〜8時間程度を目安に管理するのが理想的で、タイマーを使って毎日一定の時間に点灯・消灯するよう自動化しておくと手間が省けるうえに魚への負担も最小限に抑えられます。
ストレス自体が体色を悪化させる大きな要因でもあります。
全方向から光を感じたり、臆病な魚なら常に人影を感じる環境はストレスになると考えられます。
バックスクリーンを貼ることで魚も落ち着き居心地が良くなります。
また、プラティは臆病な性格をしているため、隠れられる流木や水草、石組みはたくさん入れておくと落ち着きやすいです。
隠れ家となる水草をしっかり用意し、プラティが安心して泳げる環境を整えることが、長期的な発色の維持につながります。
水草との相性と発色の見せ方
体色の赤や黄色といった原色をいかすために水草は明るい緑色のものを選ぶと良く、水草の種類は多すぎると煩雑になるため60cm水槽で5〜6種を目安にするのが望ましいです。
アヌビアスナナやミクロソリウムのような深みのある緑色の水草を背景に配置するとプラティの暖色系の体色が際立って見えます。
水草はプラティの隠れ家にもなるため、発色の維持と居心地の向上を同時に実現できる点でも積極的に活用したいアイテムです。
色揚げは一夜にして成し遂げられるものではありませんが、適切な餌・底砂・照明・水草という環境を整えて継続的にケアを続けることで、プラティ本来の鮮やかな体色を引き出し、長く楽しむことができます。