
ネオンテトラの尾ぐされ病の症状と原因は?
ネオンテトラの尾ぐされ病と口ぐされ病は同じ病気?
尾ぐされ病や口ぐされ病はうつる?隔離が必要?
ネオンテトラの尾ぐされ病は自然治癒では治らない?
ネオンテトラの尾ぐされ病は塩浴で治る?
ネオンテトラの尾ぐされ病におすすめの薬と薬浴のやり方は?
こんなネオンテトラの尾ぐされ病に関する疑問についてご紹介いたします。カージナルテトラやグローライトテトラなど同じカラシン系の尾ぐされ病に対しても活用できますので参考にしてみてください。
ネオンテトラの尾ぐされ病の症状と原因
ネオンテトラに発生する病気に「尾ぐされ病」という病気があります。
尾ぐされ病を発症すると、どのような症状が現れるのでしょうか?
また、尾ぐされ病に罹ってしまう原因はなんなのでしょうか?
尾ぐされ病とは尾ビレなどのヒレが溶けたようにボロボロになる病気です。
発症初期はヒレの先端や縁が白っぽく濁り、その周辺が赤く充血したようになります。
症状が進んでいくと、ヒレが腐ったように徐々に溶け、ボロボロになっていきます。
末期にまでなると尾ビレの付け根まで症状が進行し、ヒレの膜が全て溶け、鰭条のみを残してバサバサの状態になります。
そこまで尾ぐされ病が進行してしまうとまるで骨組みだけになった傘のような状態です。
ここまで症状が進んでしまうと治療は難しく、ネオンテトラは衰弱して死んでしまいます。
尾ぐされ病は発症すると症状の進行が早く厄介な病気ですが、何が原因で尾ぐされ病を発症してしまうのでしょうか?
尾ぐされ病は細菌が感染する事で発症します。
その細菌とは、フラボバクテリウムカラムナーレ、通称「カラムナリス菌」と呼ばれる細菌です。
このカラムナリス菌がネオンテトラの尾ビレに感染することで尾ぐされ病を発症します。
カラムナリス菌は水の中に常に存在している「常在菌」です。
そのため、飼育水の中のカラムナリス菌をゼロにすることはできません。
「病気の原因になる菌が飼育水の中にいて大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、カラムナリス菌は生体が健康な時には感染することができないので問題ありません。
しかし、ネオンテトラが体調を崩して免疫力が低下していたり、ヒレが擦れて傷ついていたりすると感染してしまいます。
また、水槽内やフィルターに有機物などの汚れが溜まっていると、この有機物を餌にカラムナリス菌が爆発的に増えるので、より感染リスクが高まります。
水槽やフィルターの汚れはネオンテトラが体調を崩す原因ともなるので、こまめな掃除や水換えはネオンテトラの健康維持と尾ぐされ病予防に効果的です。
発症すると進行が早い尾ぐされ病は、感染しないように予防する事が特に重要です。
万が一尾ぐされ病を発症してしまったら、症状が進む前にすぐに治療を開始するようにしましょう。
ネオンテトラの尾ぐされ病と口ぐされ病は同じ病気?
尾ぐされ病と名前が似ている病気に「口ぐされ病」という病気があります。
名前が似ているこの2つの病気は同じ病気なのでしょうか?
尾ぐされ病と口ぐされ病は両方ともカラムナリス菌が原因で発症するため、同じ病気と言えます。
ただカラムナリス菌が感染する場所が違うだけです。
原因となる菌が同じなので、尾ぐされ病が口にうつって口ぐされ病を発症するケースもあります。
このほか、エラにカラムナリス菌が感染するとで発症する「エラぐされ病」という病気もあります。
尾ぐされ病と口ぐされ病、エラぐされ病は共に同じ菌が原因で発症する病気ですが、その危険度は異なります。
この3つの中で比較的治りやすいのは尾ぐされ病です。
一方、口ぐされ病やエラぐされ病の完治率はとても低いです。
ネオンテトラが口ぐされ病に感染すると餌が食べられなくなります。
そのため病気を治す体力が無くなり、衰弱して死んでしまうのです。
エラぐされ病に感染すると、エラでのガス交換がうまくできなくなります。
これによりネオンテトラは呼吸困難に陥り死んでしまいます。
このように、尾ぐされ病と口ぐされ病は同じ原因菌により発症する病気ですが、発症場所により危険度が異なるので注意が必要です。
また、尾ぐされ病から口ぐされ病を発症することもあるので、感染が広がる前にすぐに治療しましょう。
尾ぐされ病や口ぐされ病はうつる?隔離が必要?
1匹のネオンテトラが尾ぐされ病や口ぐされ病を発症したら、他のネオンテトラにもうつってしまうのでしょうか?
尾ぐされ病や口ぐされ病は感染力が高い病気なので、病気に罹った個体をそのままにしていると他のネオンテトラにもうつる可能性があります。
そのため、病気を発症した個体はすぐに隔離するようにしましょう。
病気の個体を隔離したら、本水槽の水換えや掃除も行ってください。
なぜなら、尾ぐされ病を発症した個体がいるということは、水槽内の環境が悪化している可能性があるからです。
水槽内やフィルターに汚れが蓄積しているような飼育環境は、ネオンテトラの免疫力を下げると同時にカラムナリス菌が増殖する原因になります。
このような環境をそのまま放置していると、他のネオンテトラも尾ぐされ病を発症する危険が高まってしまいます。
そのため、尾ぐされ病を発症している個体を隔離することはもちろん、水槽やフィルターの掃除や水換えを行い、他の個体が尾ぐされ病を発症しないように飼育環境を清潔に整えてあげる事も大切です。
「2~3匹なら隔離できるかもしれないけれど、もっとたくさんのネオンテトラが尾ぐされ病を発症したらどうするの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。
すでに複数のネオンテトラが発症している場合には隔離は難しいので、本水槽でそのまま治療します。
このように、ネオンテトラが尾ぐされ病を発症した場合には、他の個体にうつさないように病気の個体を隔離するのが基本です。
ネオンテトラの尾ぐされ病は自然治癒では治らない?
ネオンテトラの尾ぐされ病は、そのまま放っておけば自然治癒で治ることがあるのでしょうか?
基本的に尾ぐされ病は自然治癒しません。
稀に一時的な体力低下で尾ぐされ病を発症し、体力の回復と共に自然治癒するケースもありますが、かなりのレアケースです。
このような稀なケースを期待して尾ぐされ病を放置しておくことは危険です。
なぜなら、尾ぐされ病は症状の進行が早いので、自然治癒を期待して放置している間にあっという間に症状が進行し、手遅れになることが少なく無いからです。
発見時にすぐに治療すれば治ったはずの個体をみすみす死なせてしまうことになりかねません。
このように尾ぐされ病は症状の進行が早い上に、ほとんど自然に治ることは無いので、発症を確認したらすぐに治療してください。
ネオンテトラの尾ぐされ病は塩浴で治る?
塩水を使って治療する塩浴は、ネオンテトラなどの観賞魚が発症する多くの病気に高い治療効果を発揮します。
では尾ぐされ病にも塩浴は有効なのでしょうか?
実は尾ぐされ病に塩浴はあまり効果がありません。
それどころか逆効果になってしまう可能性があるのです。
なぜなら尾ぐされ病の原因菌であるカラムナリス菌は塩にとても強いからです。
それどころか、ある特定の塩分濃度になるとカラムナリス菌は活発に活動します。
その塩分濃度とは0.5%です。
0.5%の塩分濃度は病気治療用の塩浴の塩分濃度と同じです。
つまり、病気治療に使う塩分濃度が、カラムナリス菌を最も活発にしてしまう塩分濃度なのです。
また、塩浴時はより治療効果を高めるために水温を28℃前後と高めに設定します。
この高めの水温もカラムナリス菌をより活発にします。
このように塩浴治療の塩分濃度と水温はカラムナリス菌が最も活発に活動する環境なので、塩浴は逆効果になってしまいます。
しかし、塩浴はネオンテトラの体力を高め治癒力アップに貢献してくれるので、薬浴と併用して使うと効果的です。
以上のように、ネオンテトラの尾ぐされ病を塩浴のみで治療するのは逆効果となるので、必ず薬浴で治療するようにしましょう。
ネオンテトラの尾ぐされ病におすすめの薬と薬浴のやり方
ネオンテトラの尾ぐされ病の治療は魚病用の薬を使った薬浴で行います。
具体的にはどのような薬を使って治療すれば良いのでしょうか?
また、薬浴はどのように行うのでしょうか?
尾ぐされ病の治療には、細菌を殺菌する抗菌剤入りの薬を使って治療します。
具体的には次のような薬です。
- グリーンFゴールドリキッド
- グリーンFゴールド顆粒
- 観パラD
- エルバージュエース
これらの薬を使って治療します。
エルバージュエースはとても強い薬なので、他の薬を使っても効果が見られなかった場合の最終手段として使うと良いと思います。
次に薬浴のやり方についてご説明します。
薬浴は基本的に病気の魚を隔離容器に移して行います。
しかし、ネオンテトラが尾ぐされ病に集団感染している場合には、本水槽ごと薬浴を行なってください。
まずは隔離容器での薬浴です。
飼育水を入れた隔離容器に病気のネオンテトラを移します。
次に、規定量の薬を計量カップなどに入れ少量の飼育水で溶かします。
塩浴も同時に行う場合は、薬と一緒に塩も溶かしておきましょう。
この薬を入れた治療水を時間をかけながら徐々に隔離水槽内に入れていきます。
いっぺんに全部入れてしまうと、薬による急激な水質変化でネオンテトラがショックを起こすので注意してください。
治療水の全量の1/5程度を入れて10分様子を見て、また1/5入れる。というように、時間をかけてゆっくり薬を入れていきます。
隔離容器は水量が少なくただでさえ水が汚れやすいのですが、薬や塩を入れた水だとさらに汚れやすくなってしまいます。
よってエアレーションをかけて水の劣化を遅らせるようにしましょう。
また、ネオンテトラの新陳代謝を高めて治療効果を上げるために、ヒーターを入れて水温を28℃前後に保つようにします。
尾ぐされ病の治療期間の目安は1週間です。
この間、隔離容器の水換えをしながら様子を見ていくのですが、水換え頻度は病気のネオンテトラの状態によって調節してください。
隔離容器の水換えはできれば毎日行いたいのですが、ネオンテトラの状態が悪い時は3日に一回の頻度で構いません。
水換えの量も魚の状態によって、全量換水か半量の換水に調節します。基本は全量換水です。
交換する新しい水には、水量に合わせた規定量の薬や塩を入れておいて構いません。
すでに治療水に慣れている状態なので、治療開始時のように徐々に薬を入れる必要はないです。
ただし、新しい治療水の水温合わせは忘れず行いましょう。
隔離容器内の治療水と新しい治療水の水温差が大きいと、ネオンテトラがショックを起こしてしまうので注意が必要です。
尾ぐされ病が無事に完治したら、隔離容器の治療水を本水槽の水に換えていきます。
毎日1/5程度の水量を飼育水と換えるようにします。
5日ほどするとほとんど真水に戻り飼育水に慣れた状態になるので、ネオンテトラだけ掬い本水槽に戻してあげましょう。
以上が隔離容器での薬浴方法です。
次に、本水槽を使った薬浴方法についてご説明します。
複数のネオンテトラが尾ぐされ病に罹っている場合は、本水槽で薬浴を行います。
本水槽での薬浴方法も基本的な流れは隔離容器の時と同じです。
ただ、水換えはそれほど頻繁に行わなくて大丈夫です。
本水槽は水量が多い上にフィルターを稼働させたまま薬浴を行うので水が汚れずらいです。
また、薬の薬効はおおよそ3日~5日ほど効果が持続するようになっています。
なので、3日に一回、半分程度の水を新しい治療水に換えればOKです。
このように、水換え方法以外は隔離容器での薬浴と流れはほとんど変わりません。
しかし、本水槽での薬浴ならではの注意点がいくつかあります。
- ろ材に活性炭やゼオライトを使っている場合は取り除く
- 混泳水槽の場合は混泳魚の薬耐性に注意
- バクテリアが減るので薬浴後しばらくは水質変化に注意
本水槽での薬浴はフィルターを稼働させたまま行ないます。
この時、フィルターのろ材に活性炭やゼオライトを使っているとこれらのろ材に薬が吸着されてしまい、薬の効果が薄まってしまいます。
そのため、活性炭やゼオライトといったろ材は薬浴中は取り除いておきましょう。
次にネオンテトラを混泳水槽で飼育している場合、他の混泳魚の薬耐性に注意して下さい。
例えば、ナマズの仲間のコリドラスやエビ類などは薬に弱い生体です。
これらの生体と混泳させている水槽に規定量の薬を入れてしまうと、コリドラスやエビ類の元気が無くなり、場合によっては死んでしまうことがあります。
このような場合は、薬効が弱い薬を使うか、薬の量を規定量の半分から7割程度に抑えるなどして調節しましょう。
この他、水草なども薬の影響で枯れてしまうことがあるので、他の水槽やバケツなどに避難させておくと良いでしょう。
薬浴の影響は水槽内の濾過バクテリアにも及びます。
生物濾過の要である濾過バクテリアも、薬の影響で死滅してしまいます。
そのため、薬浴後の本水槽内は濾過バクテリアがほとんどいない状態になってしまうので、水が汚れやすくなります。
しばらくすれば濾過バクテリアも元通りに増えますが、それまでは水質が変化しやすい不安定な状態になるので、水換え頻度を増やすなどして水質が悪化しないように注意しましょう。
以上が本水槽で薬浴を行う際の注意点です。
尾ぐされ病はとても進行が早い病気な上に、重症化すると完治率がかなり低くなります。
そのため早期発見・早期治療が重要です。
もしネオンテトラに尾ぐされ病の兆候が見られたら、すぐに薬浴での治療を始めてください。
ネオンテトラの尾ぐされ病まとめ
- 尾ぐされ病に罹るとヒレが白く濁りボロボロに溶けてしまう
- 尾ぐされ病と口ぐされ病は同じカラムナリス菌が原因
- 尾ぐされ病は自然には治らないので治療が必要
- 尾ぐされ病に塩浴は逆効果となるので薬浴で治療する