熱帯魚飼育において水槽内の水が汚れる仕組みをしっかり理解しておくことは長期的に水槽を維持する秘訣でもあります。
水槽内が正常な状態であれば熱帯魚も健康的に生活することができるのは言うまでもありません。
そんな水槽内が汚れる理由についてまずは考えてみましょう。
水槽が汚れる原因には、目に見えるもので餌の食べ残しや熱帯魚の糞、枯れた水草の葉などが挙げられます。
さらにコケの発生なども見た目が悪くなる面からすると汚れていると感じる人もいるでしょう。
水槽の汚れに比べて、「水質の悪化」とは目には見えにくいものでアンモニアや亜硝酸、硝酸塩の蓄積が挙げられます。
そんな水槽内のトラブルをろ過フィルターが一掃してくれる・・・・のではありません。
実はろ過フィルターを設置したからすぐに水槽内の環境が良くなるかというとそうではないのです。
ろ過フィルターでは水槽はきれいにならない!?
熱帯魚飼育に限らず水槽で生き物を飼育するときには当たり前のようにろ過フィルターを設置し、そのろ過フィルターとは水槽内の水を綺麗にするものと捉えられていますがここに大きな勘違いがあるのです。
ろ過フィルターは水槽の掃除をする掃除機のような役目は果たせません。
もしろ過フィルターにそこまでの機能があるのでしたらろ過フィルターを設置してある水槽がなぜ汚れていくのでしょうか?
なぜ水槽内の水は汚れるのでしょうか?
水が汚れる理由は熱帯魚の糞や枯れた水草や餌の食べかすなどが原因であることは間違いありませんが、まずこれらの目に見えるゴミをろ過フィルターがすべて吸い取ることはできません。
水流に載って吸い込まれてきた分だけの物理的ろ過はできますが、水槽内の大半の糞などは底のほうに沈殿し腐敗していきます。
そしてこれらの有機物が時間の経過とともにアンモニアに変化しますがアンモニアは非常に毒性が強く熱帯魚には大敵です。
このアンモニアはニトロソモナスと呼ばれているろ過バクテリアによって亜硝酸に変化します。
亜硝酸はアンモニアに比べれば弱いですがそれでも毒性はあり熱帯魚には好ましくありません。
亜硝酸は次なるろ過バクテリアのニトロバクターによって硝酸に変化します。
このように水槽内の有機物はバクテリアの働きによって無害な物質に変化していくのです。
これが熱帯魚飼育でよく言われる熱帯魚飼育は水作りや熱帯魚飼育はバクテリア飼育などと言われる理由です。
よってご自身の水槽の水質が今、どのような状態にあるのか、バクテリアの働きがしっかり機能しているのかを把握するうえでも水質測定が重要になってくるのです。
熱帯魚が突然死んでしまったり、過剰にコケが生えてくるなど水槽内に何かしらのトラブルを感じるときには水質に問題があるのかもしれません。
そのような問題が起こらないようにするためにも定期的な水質チェックを心がけましょう。
管理しておきたい項目にはpH、アンモニア濃度、亜硝酸濃度、硝酸塩濃度などがありますが水槽立ち上げ時は特にこれらの項目が不安定になりやすいのでしっかり管理しましょう。
ろ過フィルターの本当の役割
フィルターを設置する理由ですが先にも述べたような理由で水槽内の水質は変化していきます。
このサイクルを正常に機能させる為にろ過装置を設置するのです。ろ過の仕組みには大きく分けて3つがあります。
まずは物理的ろ過ですが、物理的ろ過とはウールマットなどを使用し目に見える大きなゴミを取り除くことです。
物理的ろ過の効果が大きいと食べかすや枯れた水草などをアンモニアに変化する前に取り除くことができるのでバクテリアの仕事を減らせるうえにアンモニアの量を減らすこともできます。
次は生物ろ過ですが、これは先に述べたバクテリアの働きを活発にさせるものでフィルター内にバクテリアが住み付きやすいろ材を入れておくことでバクテリアがたくさん繁殖できその結果ろ過能力が高まるという仕組みです。
最後は科学的ろ過で主に活性炭やゼオライトなどを使用し水中の不純物を吸着させることで行うろ過です。
これは生物ろ過と併用したり水槽セット時のバクテリアの数が少ないときなどに効果を発揮します。
今まで述べてきたことを纏めるとろ過フィルターとはバクテリアの働きを助ける為の設備と言っても過言ではありません。
物理的ろ過によりバクテリアの負担を軽くする=バクテリアが少ない時は特に効果を発揮します。
生物的ろ過の主役と言えるバクテリアに住処を提供する=バクテリアが住み着きやすいろ材を入れ環境を整えてあげることでバクテリアが定着し活発に働きます。
これがろ過フィルターを設置する本当の理由ですのでこの事をしっかり考えながら水槽管理を行っていきましょう。