
プラティを飼っているとある日突然、水面近くでぼーっとしていたり、体が斜めに傾いていたり、ひどい場合は仰向けでプカプカと浮いていたりする場面に遭遇することがあります。
はじめて見ると「もう死んでしまうのでは」と焦ってしまいますが、原因を正しく見極めて適切に対処すれば、回復できるケースも少なくありません。
ただし、放置してしまうとそのまま状態が悪化することもあるため、素早い判断と行動が重要です。
浮く原因はひとつではない
プラティが浮いてしまう原因はいくつかあり、それぞれ対応方法が異なります。
まず確認してほしいのが、メスのプラティであれば妊娠している可能性です。
プラティは卵胎生で、体内で稚魚を育てて出産します。
出産直前になるとお腹が大きく張り出して四角くなり、動きが鈍くなったり水面近くでぼーっとしている様子が見られます。
このような状態は病気ではなく正常な生理現象ですので、過度に心配する必要はありません。
お腹の中に稚魚の目が透けて見えるようであれば、産卵ケースへの移動を検討してください。
一方、明らかに体のバランスが崩れていて、体が横向きになっている、尾びれが浮き上がって頭が下がる、沈もうとしてもすぐ浮き上がってしまうといった状態であれば、転覆状態と判断してよいでしょう。
転覆状態の主な原因
転覆の原因として最も多いのが消化不良によるガス溜まりです。
餌を食べすぎた際や、水面に浮く餌を口にしながら空気を大量に飲み込んでしまった場合、腸内にガスが発生して体が浮き上がりやすくなります。
フンに気泡が混じっていたり、フン自体が水面に浮いてくるような状況であれば、消化不良が原因である可能性が高いです。
次に考えられるのが浮き袋の機能不全です。
魚は浮き袋と呼ばれる器官で体の浮力をコントロールしていますが、何らかの原因でその機能が損なわれると沈んだり浮いたりするコントロールができなくなります。
消化器官の圧迫が浮き袋に影響を与えることもありますし、細菌感染が原因となることもあります。
水温の急激な低下も見逃せない要因です。
プラティは適水温が20〜28℃で、特に25℃前後を好みます。
水温が急に下がると消化機能が低下し、消化不良から転覆状態に陥ることがあります。
季節の変わり目やヒーターの故障などには注意が必要です。
また、水質の悪化が引き金になることもあります。
アンモニアや亜硝酸が蓄積すると魚全体に悪影響を及ぼし、体力が落ちた結果として泳ぎのバランスが崩れることがあります。
さらに重篤な原因として、エロモナス菌などの細菌感染による内臓疾患が挙げられます。
腹水病を発症するとお腹が不自然に膨れ上がり、体が浮きやすくなります。松かさ病(鱗が逆立つ)を併発するケースも多く、こちらは治療が難しい病気のひとつです。
初期対応:絶食と水温管理
浮いている状態を発見したら、まず食事を止めることが基本です。
消化不良が原因であれば、餌を2〜3日与えないだけで腸内のガスが排出され、フンと一緒に症状が改善することがあります。
熱帯魚は1週間程度の絶食でも致命的な問題にはなりませんので、焦って餌を与え続けることはかえって逆効果です。
水温については、25℃前後を維持するよう設定してください。
低すぎると消化機能が低下し、高すぎると別のストレスになります。
ただし、急激な水温変化は魚にとって大きなダメージになるため、1日あたり数℃ずつゆっくりと調整してください。
隔離と塩浴による治療
状態が気になる個体はメイン水槽から隔離することを強く推奨します。
隔離することで、他の魚からのストレスを排除し、水深や水流をコントロールしやすい環境を整えられます。
浮いてしまう個体は水深を浅めにしてあげると体勢を保ちやすくなります。
隔離した後に取り組みたいのが塩浴です。
水量1リットルに対して塩5gを溶かした0.5%濃度の塩水に移して様子を見ます。
塩浴には魚の体内の浸透圧調整を楽にし、体力の回復を促す効果があります。
この際、必ずエアレーションを行い、酸素を十分に供給してください。
塩浴期間中は餌を与えず、毎日水量の1/3程度を塩水で換水しながら清潔を保ちます。
消化不良が原因と思われる場合は、塩浴と合わせてエプソムソルト(硫酸マグネシウム)を使う方法も効果的です。
エプソムソルトは筋肉の緊張を緩和して排便を促す作用があり、水量10リットルに対して3g程度が目安です。
泳ぎの異常が見られなくなり、毎日排便が確認できるようになってから数日後に治療を終了するのが理想的です。
細菌感染が疑われる場合の対応
絶食と塩浴を1週間ほど続けても改善の兆候が見られない場合やお腹に赤みや不自然な膨らみがある場合、ヒレに充血や傷が見られる場合には、細菌感染を疑う必要があります。
エロモナス菌による内臓疾患が原因であれば、グリーンFゴールド顆粒や観パラDといった魚病薬を使った薬浴が必要になります。
これらは細菌性の病気に対して広く使われる薬品で、隔離水槽に規定の濃度で溶かして使用します。
薬浴中も餌は基本的に与えず、毎日少量の水換えを続けながら様子を観察してください。
浮き袋の損傷が原因と疑われる場合は、残念ながら根本的な治療方法がないのが現状です。
ただし、生活の質を上げてあげることで長く生きてもらうことは可能です。
水深を浅くして魚が水面まで泳ぎやすい環境を作る、餌を沈下性のものに変えて水面まで上がる必要をなくす、水流を弱めて体への負担を減らすといった工夫を続けることが大切です。
回復後の再発を防ぐために
一度転覆状態から回復したとしても同じような環境が続く限り再発のリスクは残ります。
根本的な予防のために見直すべき点はいくつかあります。
まず餌の与えすぎを避けることです。
プラティへの餌は1〜2分で食べきれる量を1日1〜2回が基本です。
食べ残しが出るようであれば量を減らしてください。
また、浮き上がりタイプの餌はプラティが水面をパクパクしながら空気を飲み込みやすいため、沈下性の餌に切り替えることも有効です。
水質管理については週に一度程度の水換えを習慣化し、底に溜まったフンや食べ残しを定期的に取り除くことが基本です。
アンモニアや亜硝酸の濃度を試験紙で定期的にチェックすることも、異常の早期発見につながります。
水温の安定化も非常に重要です。
ヒーターを使用して年間を通じて25℃前後を維持し、水換えの際には水温差が出ないよう必ず温度を合わせてから新しい水を入れるようにしてください。
水槽にライトを設置して朝晩の点灯・消灯のサイクルを整えることもプラティの生活リズムを整え代謝を安定させる助けになります。