
水槽の中でいつも元気よく泳ぎ回っているプラティが、ある日突然底でじっとして動かなくなるような場面に遭遇すると飼い主としてはどうしても不安が先に立ってしまうものです。
ただ、底に沈んでいるからといって、すぐに深刻な事態と判断するのは早計です。
原因はひとつではなく、単純な休息から深刻な病気まで、実に幅広い可能性が考えられます。
まずは落ち着いて観察し、何が起きているのかを順番に確認していくことが大切です。
水質の悪化によるエラへのダメージ
餌の食べ残しや排泄物が蓄積すると水中のアンモニア濃度が上昇し、エラにダメージを与えることがあります。
その結果、泳ぐ力が弱まり、底に沈んでしまうことがあります。
長期間水換えをしていない場合は、特に注意が必要です。
注意しておきたいのは、水が見た目に透明であってもそれが安全な水とは限らないという点です。
アンモニアや亜硝酸は人の目にはまったく見えず、試験薬で調べるほかはありません。
つまり水が透明でも魚には有害なことがあるということです。
プラティは体の割に食欲が旺盛でフンも多い魚ですから、過密飼育や濾過不足の環境では、水質が予想以上に早く悪化していることもあります。
水温の急変や低水温によるストレス
プラティの適水温はおおむね20〜26℃とされています。
急激な温度低下や水換え時の大きな温度差は、強いストレスとなります。
冬場にヒーターを設置していない、あるいは故障しているといったケースも原因のひとつとして考えられます。
低すぎると動きがなくなり元気に生活できませんので、25℃前後を保つようにしましょう。
季節の変わり目は水温が特に変化しやすいため、こまめに水温のチェックをしましょう。
水温計を設置していても設置場所によってヒーター付近と水面付近で温度差が生じることがあるため、複数箇所での確認が望ましいです。
購入直後・水合わせ不足による環境適応の失敗
購入直後は、水質や水温の違いに体がうまく適応できず、底でじっとすることがあります。
そのような問題は水合わせが不十分だった場合に起こりやすい状態です。
数日で回復するケースもあるため、しばらく様子を見てもよいでしょう。
水槽に入れたばかりの熱帯魚は、新しい環境に慣れておらず底のほうでジッとして動かないことが多いです。
また、水換えや底床の掃除、レイアウトの変更などで水槽内が変わることによっておびえて動かなくなることもあります。
心配だからといって水槽に近付いて見ているとかえっておびえてしまうため、離れて様子を見ることをおすすめします。
混泳相手によるストレスと隠れ行動
他の魚から追われている場合、恐怖や緊張から底に隠れる行動をとることがあります。
プラティは温和な性格の魚ですので、攻撃的な種と同居させると一方的に追い回されることがあります。
そのような状況が続けば、魚は精神的に消耗し、底でじっとしたまま動かなくなることがあります。
水槽内に水草や流木などの隠れ場所を設けることで、ストレスをある程度やわらげることができます。
酸欠による活動低下
フィルターの停止や水温上昇により溶存酸素が減少すると活動が鈍くなることがあります。
水面付近で口をパクパクさせている様子が見られる場合は、酸欠の可能性があります。
プラティは繁殖力が高く、増えすぎた時は酸素不足になってしまいます。
水面付近でパクパクする様子を見つけたら、サブで投げ込み式フィルターを追加してください。
夏場に水温が上がると溶存酸素量が低下しやすいため、エアレーションの強化や水温管理が特に重要になります。
消化不良とお腹のガスの蓄積
プラティはお腹にガスが溜まりやすく、消化不良から浮いてしまったり、水底でじっと動かなくなってしまったりすることがあります。
餌の与えすぎには注意して、消化不良の様子が見られるときには、水温を30度前後まで少しずつあげて様子を見ましょう。
プラティは食欲が非常に旺盛で、与えた餌をほとんど食べてしまうため、飼い主が「まだ食べるから」とつい余分に与えてしまうことがあります。
しかしそれが消化器系に負担をかけ、底でじっとしてしまう状態につながることもあります。
出産が近いメスの行動
お腹が大きいメスの場合、出産前に物陰や底でじっとすることがあります。
妊娠マーク(肛門付近の黒い斑点)が濃くなり、お腹が角ばって見えるようであれば、出産が近い可能性があります。
稚魚を産む前の兆候は尾ヒレの付け根が黒くなり、水底でじっとしていたり、上下泳ぎを繰り返し始めたりすると出産が近いと言われているので、見かけたら産卵ケースなどに入れてあげましょう。
この場合は病気ではないため、慌てて塩を大量に入れたり薬浴させたりする必要はありません。
メスの体の変化をよく観察したうえで、状況に応じた対応をとることが重要です。
病気の初期症状としてのサイン
白点病や尾腐れ病などでは、初期段階で元気がなくなることがあります。
外見の変化が少ない段階でも、行動に異変が出る場合があります。
ヒレのただれや体表の異常がないか、注意深く確認してください。
プラティの元気が無くなったり、各ヒレを畳んでジッとしていたり、体に白い点がいくつも出来てきたら早めに治療をしてあげましょう。
病気の初期は外見からはわかりにくいこともあるため、底に沈んでいるという行動の変化を体調不良の早期サインとして受け止めることが大切です。
特に輸入個体は輸送中に体力を消耗している場合もあるため、購入直後は特に注意深く観察する習慣をつけておきましょう。
浮き袋の異常や神経系の問題
ベリースライダーと呼ばれる生まれつきのものと環境の急変や外傷などが原因の後天性のものがありますが、どちらもすぐに魚が死亡するとは限らず、比較的長生きする場合が多いようです。
浮き袋の機能が正常に働かなくなっている状態で、底に沈んだまま浮き上がれないという形で現れることがあります。
一方で、運動神経系の疾病や損傷などで発生すると思われるものもあり、こちらはほとんどの個体が死に至るケースが多いようです。
魚病薬を大量に投与した場合などにも似たような症状が出る場合があります。
外見だけで判断するのは難しい症状ですが、泳ぎ方に不自然さが見られるときはこうした可能性も頭に置いておくとよいでしょう。
寿命による衰弱
プラティーの平均的な寿命は1〜2年です。
大切に飼育すれば3年前後生きる個体もいます。
また、メスは出産を繰り返していると体力を使い果たして死期が早まる傾向にあります。
飼育環境に問題がなく、魚自体が1年以上経過しているようであれば、老齢による体力の低下で底に沈んでいる可能性もあります。
この場合は無理に治療しようとするより、静かな環境でそっと見守ることが魚にとっての最善となる場合もあります。