
白点病はアクアリウムの世界では「風邪」とも呼ばれるほど身近な病気ですが、プラティのような小型熱帯魚にとっては放置すると命に関わる深刻な感染症です。
そのため、早期発見と適切な治療が回復のカギを握ります。
白点病の原因と治療の考え方
プラティの体表に白い点が現れたら、まず疑うべきなのが白点病です。
原因となるのはウオノカイセンチュウという寄生虫で、魚の体表に0.5mm程度の目に見える白点として現れ、その後1〜2週間で成虫となって宿主から離れ、水中や底砂でシスト化・増殖し、再び遊走子として魚に寄生するというサイクルを繰り返します。
治療を進めるうえで理解しておきたいのが、このウオノカイセンチュウの生態的な弱点です。
成虫になってしまった段階や魚に寄生している最中は薬に対して耐性が強く、薬が効くのは宿主を探して水中を漂っている遊走子の間だけです。
つまり、薬や塩をただ投入するだけでは不十分で、寄生虫のライフサイクルを意識した治療が必要になります。
また、白点病の初期症状として、背びれや尾びれに白い点(銀色の点)が付くほか、発病した個体はソイルや岩、水草に体を擦り付ける仕草を見せます。
同じ種類の魚と明らかに異なる動作を繰り返すため、注意深く観察していれば早期発見はそれほど難しくありません。
水温を上げることの重要性
薬や塩を使う前にまず取り組むべきなのが水温の管理です。
ウオノカイセンチュウは低水温に強く高水温に弱い性質を持っており、水槽用ヒーターで水温を28〜30度に設定することが推奨されています。
昇温によってホロントからシストへの成長が促進され、比較的短期間で魚体から離れさせることができます。
ただし、一気に水温を高くしてしまうとプラティの体にも負担がかかるため、1日に1度ずつゆっくりと上げていくことが大切です。
水温が急変することでかえって体力を奪い、免疫力を低下させてしまうことがあるので、焦らず段階的に上げていくようにしましょう。
塩浴の正しいやり方
塩浴は病気の初期段階や手元に薬がない状況でまず取り組める治療法です。
塩浴は飼育水を魚の体と同じ塩分濃度に近づけることで、魚が体から余分な水分を出す必要をなくし、浸透圧調節に使うエネルギーを節約させるというもので、体力を温存しながら免疫力を高める効果があります。
塩の濃度は基本的に0.5%で、水1Lにつき塩5gが目安です。
プラティはもともと若干の塩分耐性がある魚種ですが、それでも濃度を守ることは重要です。
塩浴を行う際の注意点として、ろ過バクテリアが塩水によってダメージを受けるため、治療中は使い捨てと割り切った投げ込み式フィルターやスポンジフィルターで濾過の代用をしましょう。
また、水草も塩分に弱いため、植えてある水槽ごと塩浴させるのではなく、隔離容器に移して行うのが基本的な方法です。
薬浴に使う薬の選び方
白点病の薬浴に使われる代表的な薬としては、メチレンブルー、アグテン、ヒコサンZなどが挙げられます。
アグテンはマラカイトグリーンシュウ酸塩を主成分とし、メチレンブルーよりも短期間で治療が終わることがメリットです。
同じ成分の薬であるヒコサンZも同様に使用できます。
ただし、アグテンは28度以上の高水温では使用できない点に注意が必要です。
また、光によって分解されるため、薬の効果を保つために治療期間中は遮光してください。
着色作用が強いので、皮膚や衣服に付着しないよう注意が必要です。
薬浴の具体的な手順と期間
薬浴を行う際は、まず飼育水を半分ほど換水し、活性炭フィルターなどは外してください。
照明や二酸化炭素の強制添加も止めてから薬を投入します。
活性炭が薬効成分を吸着してしまうため、この手順は特に重要です。
薬で退治できるのは遊走子の状態のときだけです。
ウオノカイセンチュウはおよそ1週間のサイクルで遊走子の状態になるため、薬浴は最低でも1週間継続してください。
加温している環境であればさらに駆除できる確率が高まります。
薬浴中は餌を与えず、2日に1度、2/3程度の水替えを行いましょう。
2週間経って元気になっているようであれば、1日かけてゆっくり真水に戻して薬浴完了です。
治らない場合は、一日から二日薬浴を中断し、その間に餌を与えて体力の回復を図ってから、再度薬浴を行ってください。
塩浴と薬浴の併用について
初期治療から回復に向けて、塩浴と薬浴を組み合わせることが効果的な場面もあります。
塩水には魚の体力を温存して自然治癒力を高める効果があるため、メチレンブルーやアグテンと塩水浴を併用することで、より治療効果を上げることが期待できます。
薬浴後に塩浴に切り替えることで魚の体を徐々に回復させ、1週間様子を見て再発がなければ治療完了とみなして問題ありません。
まだ白点の症状が残っている場合は、再び薬浴と塩浴のサイクルを繰り返します。
治療後の水槽リセットと再発防止
白点が消えて魚が回復しても水槽の環境をそのままにしておくと再発のリスクが残ります。
治療前に使用していた水槽内のレイアウトは全て消毒・リセットしましょう。
底砂からフィルターまで、そのままにしておくと再び白点病になる可能性があります。
熱湯に耐えられるものは熱湯消毒し、水槽などは衣料用ワイドハイターで消毒したうえで、カルキ抜きした水で3日程度放置してあく抜きを行います。
新しく魚を購入して水槽に導入する前にまず薬浴を行って様子を見ることも有効な予防策です。
白点病はごく初期の段階、白点が数個程度のうちに手を打てば完治するケースが多いため、日頃からの観察習慣が何より大切です。