グローライトテトラの寿命は何年くらいなのか?
その答えにはふた通りの考え方があり、その理由を知ることはグローライトテトラの寿命を延ばす方法を知ることにも繋がります。
間違った水質・水温管理や混泳方法は寿命を縮めることにもなりかねません。
グローライトテトラの寿命
グローライトテトラの寿命は何年くらいなのでしょうか?その問いに対する答えの前に寿命の定義について触れておきましょう。
寿命の定義を理解することでグローライトテトラの寿命を延ばす方法が見えてくるかもしれません。
寿命とは生命が誕生してから死ぬまでの期間を表したものですが、その考え方には二通りあります。
その生き物が健康な状態で生活できる最高の条件を整えてあげた場合に実現する寿命を生理的寿命。
その生物が実際に生活している環境の影響を受ける寿命を生態的寿命として区別しています。
ちなみにグローライトテトラの生理的寿命は3年くらいです。
生物の中には1年周期などで子孫を繁栄して死に絶えていくものもいますが、そのような生物は生理的寿命が短く、一生を生理的寿命によって左右されています。
しかし、熱帯魚の場合にはこの生理的寿命は意外と長く、水槽などの飼育環境下では生態的寿命に影響を受けて更に寿命が延びることもよくある話です。
人に例えると国によっても平均寿命に違いがあり、貧困や戦争の多い国ではやはり平均寿命は低くなっています。
ありがたい事に日本はそのような面では恵まれており、世界屈指の長寿国として知られていますが、逆に平均寿命が短い国では40歳にも満たない数字になっている事実もあるのです。
人でさえ生活環境によって倍以上の平均寿命差があるのですから、熱帯魚においても生活環境の大切さはご理解頂けると思います。
このことを理解した上で再度グローライトテトラの寿命について考えて見ましょう。
グローライトテトラの寿命を左右する大きな要因は、グローライトテトラの生理的寿命を知ることよりもグローライトテトラを飼育している環境がグローライトテトラにとって最適な環境かどうかなのです。
確かにショップから購入した時点で病気にかかっていたり、フラフラと浮いているような熱帯魚や尾ひれがちぎれているような明らかに健康でない熱帯魚では長生きをさせる事は難しいかもしれません。
さらに購入時に成魚であるか、若魚であるかによっても生理的寿命を考えると、飼育下での飼育年数(寿命)は変わってくるものです。
生態的寿命で話をすると意外かもしれませんが、自然の中で生息している個体よりも屋内での水槽管理の方が長生きしやすいこともあります。
その理由は、自然界では弱肉強食の環境に常にさらされている事、バランスのとれた食事(エサ)が常に確保されているわけではない事、天災などの自然災害の影響をもろに受ける事などが挙げられます。
水質の悪化が酷い水槽や過密水槽では少々厳しいですが、ヒーターなどで26℃に管理し、遊泳スペースをしっかり確保した低密度水槽であれば長生きさせることは難しいことではありません。
生態的寿命の影響を受けやすい飼育環境下では、グローライトテトラが長生きできるかどうかは飼育者の管理能力に左右されると言っても過言ではないのです。
大切な熱帯魚を1日でも長生きさせられるように日頃からの観察や世話を怠らないようにしましょう。
混泳水槽や過密水槽は寿命を縮める!?
混泳水槽は混泳させる生体の種類を間違えると、攻撃されたり、怯えてストレスとなりますし、過密水槽は水質の悪化や病気の感染などのリスクも高いものです。また、新規に導入した熱帯魚が病気を持ち込むリスクもあります。
よってグローライトテトラだけの単独飼育か相性の良い温和な熱帯魚との低密度混泳飼育の方が病気のリスクが少なくなりますので、結果的に生態的寿命を延ばすことになります。
水質悪化と病気
グローライトテトラなどの小型カラシンはある程度の水質悪化には強いですが、古い水には弱い面があり、水が古くなると白点病やエロモナス病にかかりやすくなりますので定期的な水換えを行って水質を保つようにしてください。
グローライトテトラが好む水質はアマゾン川流域が原産のため、弱酸性のpH6.5~7程度が最適です。
pHが合わないと体表の荒れや発色のくすみに繋がりますので、色合いが良くない時などはペーパー値の確認をしてみましょう。
水温と病気
飼育における適正水温は24℃~28℃くらいですが、あまり低めに設定すると白点病などに罹りやすくなるため26℃以上を保てるように設定しましょう。
熱帯魚がかかりやすい病気の代表とも言える白点病の原因菌であるウオノカイセンチュウは水温が25℃以下になると活発に活動し、30℃以上で休眠状態に入ると言われています。よって熱帯魚の病気予防や病気対策の一つに水温を高く保つ方法があるのです。
水槽の温度管理はヒーターさえ設置しておけばさほど難しいものではありませんが、夏場の暑い時期は高水温になりがちですので注意が必要です。
水温が上がると水槽内の酸素濃度は低下し、30℃を越えたあたりから活動が鈍りだす事もあります。
もしグローライトテトラがあまり動かずにじっとしていたり、ふらつくように泳ぐ姿を見せたら水温を下げる為の処置が必要となります。
高水温時は病気にはかかりにくいですが、酸素不足や体力の消耗により衰弱することがありますので、やはり適切な対応が必要不可欠となります。また、水槽導入時の水合わせや水替え時には急激な水温変化にさらされる可能性が高まります。
急激な水温変化は小さな体のグローライトテトラには大きなストレスとなり、病気を発症するきっかけにもなりますので注意が必要です。
飼育環境下では飼育者の飼育スキルや世話の仕方次第で、最高の環境を作ることも、劣悪な環境を作ることもできるのです。
そのことは、グローライトテトラの寿命を決める要因であることを意識しながら毎日の世話をしてあげましょう。
グローライトテトラのかかりやすい病気
白点病
症状
グローライトテトラの体表やヒレに白い点々が見られます。
病気の初期はこの白点がぽつぽつと見られる程度ですが、重症になると体一面白点に覆われて衰弱ししてしまいます。
原因
・水温の急激な変化
・魚の新規導入や追加、外部からの持ち込み
※水温が25℃以下になると発病しやすく、屋外の金魚やメダカでは梅雨の時期や秋に発病しやすいです。
※水温をやや高め(28~30℃)にすると白点虫の増殖を抑えることができます。
白点病の治療
白点病は重症になると治療が困難ですので、初期のうちに治療することを心がけましょう。
仔虫とシスト形成前の魚から離脱した成熟虫を駆虫することを目的に行います。
水を半分程度取替えてから薬浴します。一部の薬品は、水を着色させますが、薬効が減少するに従い水の色は淡くなってきます。
5~7日後(グリーンFクリアーの場合は13~14日後)、魚体に白点がある場合は、水を半分程度取り替えてから再度規定量を投薬してください。
また、死んだ魚はそのままにせず、直ちに水槽から取り出してください。
水カビ病
症状
魚の体表やヒレに綿状のミズカビが寄生します。
このミズカビが着生する場所は、外傷や穴あき病や尾ぐされ病の患部であることが多いようです。
つまり、ある病気が発生してからこのミズカビが、二次的に着生するのです。
病状が進行するとミズカビの占有部は拡大し、その周辺が赤く充血することもあります。
原因
・輸送や網によるスレ傷
・水温の低下
※水カビ病の原因菌は水槽内に普通に存在するカビです。
目に見えない小さな傷から発症することが多く、水温が低下しているときにも発生しやすいです。
食べ残しのエサにカビがついていることがよくありますが、このカビも水カビ病の原因となるので、取り除いてください。
水カビ病の治療
水カビ病の対策として水中のミズカビの遊走子を駆除するためニューグリーンF・アグテンを用います。
具体的な治療法は、飼育水を半分程度取替え薬品を投薬します。
また、ピンセットなどで病魚からミズカビを取り除き患部に薬剤を直接塗布することも効果的です。
他の病気と併発している場合、例えば、尾ぐされ病とミズカビが発症しているときは、まず、グリーンFゴールドを投薬し、尾ぐされ病の対応処置を施してから、数時間後に、ニューグリーンFまたは、グリーンFリキッドを投薬し、本病の処置を施します。
尾ぐされ病・口ぐされ病
症状
尾ぐされ病は、観賞魚に良く見られる病気です。
初期症状は、ヒレの先端や縁が白く濁り、その周囲が赤く充血することがあります。
病気が進行するに従い、白濁はヒレの根元の方へと拡大し、ヒレの先端部から裂け始め、重症魚になるとヒレは、扇を裂いたようになり、病魚は衰弱して死にいたります。
また病魚によっては患部にミズカビが寄生することもあり、さらに治療困難になります。
本病は発見が遅れると取り返しの付かないケースが多いので注意してください。
原因
・水質の悪化
・魚の新規導入や追加、外部からの持ち込み
・輸送や網によるスレ傷
・魚の免疫力の低下
尾ぐされ病・口ぐされ病の治療
抗菌剤による薬浴で病魚を治療します。観パラDやグリーンFゴールド顆粒、エルバージュエースがあります。
具体的な治療法としては水を半分程度取替え、上記薬品で病魚を薬浴させます。
このとき食塩を水100リットルに対して300g~500g(0.3%~0.5%)入れると効果的です。
またミズカビが着生している場合はメチレンブルーまたは、ニューグリーンFを追加投薬してください。
これらの方法を用いても、重症魚は治療困難なケースが多いので、初期のうちに病気を発見して治療することを心がけてください。