ベタの尾ぐされ病とは?初期と末期の症状とそれぞれの治療

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ベタの尾ぐされ病

ベタの尾ぐされ病とはどんな病気?

尾ぐされ病の原因や初期症状は?

尾ぐされ病の末期症状はどうなる?

ベタの尾ぐされ病のステージごとの治療方法を知りたい。

こんなベタの尾ぐされ病に対する疑問についてご紹介いたします。

ベタの病気についてはこちらのまとめ記事をご覧ください。

ベタの尾ぐされ病とは

ベタに限らず観賞魚に多く見られる病気が「尾ぐされ病」です。

尾ぐされ病とはその名前の通り、尾ヒレなどのヒレが腐ったように溶けてしまう病気です。

ベタは特に尾ぐされ病にかかりやすいとも言われますが、それはベタの性質や飼育環境に起因します。

ベタが尾ぐされ病にかかってしまう原因と、症状について、詳しく見ていきましょう。

尾ぐされ病の原因と初期症状

尾ぐされ病の原因は菌の感染です。

滑走細菌類の一種であるフラボバクテリウム カラムナーレ(カラムナリス菌)が感染することで発症します。

カラムナリス菌は特別な菌ではなく、水中に常に存在する常在菌です。

通常は弱い菌なので感染の心配はありません。

人間でいう風邪のウイルスのようなものですね。

風邪のウイルスも普段から身の回りにありますが、元気な時には感染しません。

ですが、何らかの要因で体のバランスを崩すと、感染して風邪をひいてしまいます。

ベタの尾ぐされ病の原因菌であるカラムナリス菌もそのような存在です。

それでは、ベタがカラムナリス菌に感染して尾ぐされ病を発症する原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

大きく分けると次の2つです。

  • ストレスによる免疫力の低下
  • 網などの物理的な刺激による傷

水質の悪化や急激な温度の変化、新しい水槽に変えるなど、飼育環境の変化はベタにとってストレスになります。

ストレスがかかるとベタの免疫力が落ちてしまい、カラムナリス菌に感染しやすくなります。

ストレスで免疫力が落ちるのは、ベタも人間も同じですね。

また、ベタは「狭い容器でも飼育できる」と、誤解されていることも、ベタに尾ぐされ病が多いとされる要因の1つです。

確かにコップのような狭い環境でも飼えなくはないですが、それはベタにとって「最適な環境」とは言えません。

ただ「生かしておける」というだけです。「健康的に飼える」わけではありません。

当然ながら、泳ぐスペースがほとんどないような狭い環境では、ベタに大きなストレスがかかります。

強いストレスがかかるとベタの免疫力が下がってしまい、カラムナリス菌に感染しやすくなってしまいます。

このように、飼育環境がベタにとって最適ではないためにストレスがかかり、免疫力が落ちてカラムナリス菌に感染し、尾ぐされ病になってしまうことが多くあります。

「飼いやすい」という飼育者都合を優先するのか。「居心地が良い」と感じるベタのことを優先するのか。

ベタの飼育環境はこの考え方を大事にしなければなりません。

網や水槽内のレイアウト、ヒーターなどにヒレが擦れて傷がついてしまうことも、尾ぐされ病の発症リスクが高まる原因の1つです。

長く綺麗なヒレがベタの特徴ですが、その特徴ゆえにヒレが引っかかりやすく、傷ついてしまうことが多々あります。

また、稀ですがベタは自分でヒレをかじって傷つけてしまうことがあります。

このような傷口からカラムナリス菌が感染して、尾ぐされ病にかかってしまうのです。

このように、ベタは飼育環境や性質が原因で、尾ぐされ病に感染しやすいといえます。

それでは、尾ぐされ病に感染するとどのような初期症状が現れるのでしょうか。

尾ぐされ病に感染すると、初期症状として感染したヒレの先端が白く濁ります。

加えて、濁ったヒレの周辺が赤く充血したようになります。

これが尾ぐされ病の初期症状です。

このような症状が見られたら早めに治療しましょう。

尾ぐされ病の末期症状

尾ぐされ病の初期症状に気づかずに、症状が進んで末期症状になると、どのような状態になるのでしょうか。

ベタの尾ぐされ病が末期まで進むと、尾ヒレなどのヒレが根本まで裂けてバサバサになり、ヒレの付け根部分が赤く充血します。

初期はヒレの先端だけだったものが、根本まで進行して、鰭条(きじょう:ヒレの幕状の部分を支える細い骨)を残してバサバサになった状態が末期症状です。

また、傷口に水カビが発生する場合もあります。

末期症状まで尾ぐされ病が進行すると、ベタが衰弱して死んでしまうケースが多いです。

尾ぐされ病は進行が早いので、見つけたらすぐに治療を開始するようにしましょう。

ベタの尾ぐされ病の治療

ベタが尾ぐされ病に罹ってしまったらどのように治療すればいいのか。

初期症状と末期症状で治療方法に違いはあるのでしょうか。

まず、初期と末期での治療方法の違いですが、基本的には同じ治療となります。

ですが、末期症状の場合は完治がかなり難しく、治ったとしてもヒレが完全に元に戻るのは難しいものです。

よって、尾ぐされ病の治療は、末期症状になる前に早めに治療を開始することが大切です。

尾ぐされ病の初期症状の治療に塩浴を進める話をよく聞きますが、これは間違いです。

尾ぐされ病の治療を塩浴だけで行うことは逆効果となるので注意しましょう。

なぜ塩浴が逆効果になるのかを説明した後に、正しい治療方法の説明をします。

まず、なぜ尾ぐされ病の治療に塩浴を進める方がいるのかというと、「0.3~0.5%の塩分濃度の塩浴をすることで、傷口からの体液の流出を抑え、魚の自然治癒力を高める」という理論からです。

この理論自体は間違っていませんので、ちょっとした傷ならば塩浴することで治りが早くなります。

ですが、尾ぐされ病の場合は塩浴だけでは効果が不十分ばかりか、逆効果です。

その理由はカラムナリス菌の発育条件にあります。

カラムナリス菌が最も活発に発育する条件は、水温が27~28℃で、塩分濃度0.5%の環境です。

参考:静岡県水産・海洋技術研究所

ベタ飼育の最適温度は約26~28℃。塩浴時の塩分濃度は0.3~0.5%です。

つまり、ベタの飼育最適温度と塩浴の塩分濃度は、カラムナリス菌が最も活発に生育する条件と一致するのです。

そのため、尾ぐされ病にかかったベタに塩浴を行うと、カラムナリス菌が活発になり、病気の進行を早める危険性があります。

では、尾ぐされ病の正しい治療方法とはどのようなものなのでしょうか。

尾ぐされ病の治療に必要なのは「抗菌剤」による「薬浴」です。

治療に使う代表的な抗菌剤は「グリーンFゴールド顆粒」です。

他に「観パラD」や「エルバージュエース」があります。

これらの薬剤の使用と塩浴を併用するとさらに効果的です。

先程の説明で、「塩浴だけではダメ」と言いましたが、薬浴と合わせて使うと治療効果が上がります。

理由は「0.3~0.5%塩分濃度の水は、魚の体液の流出を抑えて自然治癒力を高める」からです。

この方法は塩分だけでなく抗菌剤も投入しているので、カラムナリス菌の発育条件を満たしません。

なので、0.3~0.5%の塩分濃度にしても大丈夫でし、塩浴の効果がプラスされ治療効果が上がります。

尾ぐされ病の治療効果が高い方法をまとめると、「抗菌剤と塩分濃度0.3~0.5%の塩浴の併用」ということになります。

このほか、傷口に水カビが併発している場合は、メチレンブルーなどを追加します。

初期症状の治療はもちろん、末期症状の治療もこの方法が最も効果的です。

しかし、いかにこの治療方法が有効でも、末期まで進んだ尾ぐされ病からの生存率は高くありません。

末期まで症状が進むとベタの体力がかなり落ちているので治療に耐えきれない場合が多いです。

そのため異変を感じたらすぐに治療することが肝心です。早期発見・早期治療を心がけましょう。

ここからは「抗菌剤+塩」の治療水の使い方です。

これは飼育水槽がベアタンクか底砂ありか、もしくは濾過フィルターありか無しかで変わります。

何故ならグリーンFゴールド顆粒などの抗菌剤は、バクテリアも殺してしまうからです。

底砂や濾過フィルターを使用した、バクテリアの育つ環境が整っている飼育水槽の場合は、直接抗菌剤を入れるとせっかく定着したバクテリアが死んでしまいます。

よって薬浴用の隔離水槽を別に用意して、そちらに病気のベタを移動させます。

ベアタンクの場合はバクテリアの増殖がほぼ見込めないので、飼育水槽に直接抗菌剤を入れて薬浴させて大丈夫です。

ベアタンクの場合の治療方法は、水槽の水を半分ほど換えた後、グリーンFゴールド顆粒などの抗菌剤を規定量溶かして入れます。さらに、塩分濃度0.3~0.5%になる量の食塩を溶かし入れます。

隔離水槽に移す場合は、先に規定量の抗菌剤と塩を溶かし治療水を作り、病気のベタを移せばOKです。

隔離水槽で治療している間に、飼育水槽を掃除して綺麗にしておきましょう。そうすることで、病気になりやすい環境を改善できます。

治療中の水温は25~26℃ほどに保つようにしましょう。

もし水カビも発生しているようなら、メチレンブルーも適量加えてください。

薬浴は5日を目安に行います。その間にヒレが再生してくれば治療が順調に進んでいる証拠です。

治療完了後、ベアタンクの場合は数日間、水を半分ずつ毎日交換して、薬の濃度を下げます。

隔離水槽での治療の場合は、治療終了後に飼育水槽に移して完了です。水合わせは丁寧に行いましょう。

以上が尾ぐされ病の治療方法です。

尾ぐされ病は進行が早い上に、末期まで進むと治療が難しくなるので、発見次第すぐに治療するようにしましょう。

ベタの尾ぐされ病まとめ

  • 尾ヒレなどのヒレが溶けたように裂けていくのが尾ぐされ病
  • 尾ぐされ病の原因は「カラムナリス菌」という細菌
  • カラムナリス菌は弱い菌だが、ベタの免疫力が低下すると感染しやすくなる
  • 初期症状はヒレの先端が白く濁り、その周りが充血したようになる
  • 末期症状はヒレが根本まで裂け、ヒレの付け根が赤く充血する
  • 治療には「抗菌剤+塩」が効果的

今回はベタの尾ぐされ病についてご紹介しました。皆様のアクアライフの参考にしていただけると幸いです。

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