ベタの松かさ病とは?原因と初期症状は?
ベタの松かさ病の末期症状は?
ベタの松かさ病初期は塩浴治療で大丈夫?
ベタの松かさ病の治療法と薬を知りたい。
ベタの松かさ病は水換えや餌やりをしても大丈夫?
こんなベタの松かさ病に対する疑問についてご紹介いたします。
目次
ベタの松かさ病とは?原因と初期症状
ベタが罹(かか)る病気の一つに「松かさ病」と言うものがあります。
ベタが松かさ病を発症する原因とは何なのでしょうか?
また、松かさ病を発症した初期にはどのような症状が見られるのでしょうか。
松かさ病とは、ベタなどの魚の鱗が逆立つ病気の事を言います。
鱗が立ったようになるので、「立鱗病(りつりんびょう)」と呼ばれることもあります。
松かさ病の原因は内臓機能の低下です。
しかし、その引き金となる原因は、ハッキリとは解明されていません。
ですが、主に次のような原因でベタの内臓機能が低下し、松かさ病が発症すると言われています。
- エロモナス菌の感染
- 食べ過ぎなどによる消化不良
- 水温低下や水質悪化による影響
松かさ病の主な原因と言われているのが、エロモナス・ハイドロフィラという運動性エロモナス菌の感染です。
松かさ病に罹った多くの魚の内臓からエロモナス菌が検出されているので、エロモナス菌が松かさ病の主な原因と言われています。
そのため、松かさ病はエロモナス感染症の一つとして分類される事が多いです。
ちなみに、同じエロモナス感染症の一つに「穴あき病」というものがありますが、この原因となるのはエロモナス・サルモニシダという非運動性エロモナス菌です。
同じエロモナス菌の仲間ですが、性質が少し違います。
- エロモナス ハイドロフィラ:鞭毛を持ち運動性がある。適温は25~30℃の高水温を好む。
- エロモナス サルモニシダ:鞭毛は無く運動性も無い。適温は20~25℃と比較的低水温を好む。
同じエロモナス菌でもこのような違いがあります。
エロモナス菌による松かさ病の場合、鱗が逆立つ症状の他に、ベタの体表に赤い充血が現れることが特徴とされています。
しかし、松かさ病を発症したベタなどの魚の中には、エロモナス菌を検出しないケースがあるため、必ずしも細菌感染だけが原因とは言い切れず、ハッキリとした原因解明に至っていないのです。
エロモナス菌の他に、松かさ病発症の原因と言われているのが、餌の食べ過ぎや古い餌を与えた事での消化不良、水質悪化や水温低下による内臓機能の低下です。
ベタは消化不良を起こしやすいので、餌の与えすぎなどには注意が必要です。
また、水質や水温の変化でも起こりやすいとされています。
特に、1日の寒暖差が出やすい春や秋に松かさ病の発症が多いとされているので、これらの季節は特に水温を一定に保つよう注意しましょう。
これら細菌感染以外の原因による松かさ病の場合には、ベタの体表には充血が見られないと言われています。
以上のような原因によって、松かさ病は発症します。
松かさ病を発症した初期には、以下のような症状が現れます。
- 鱗が少し浮く
- 体が膨らんでくる
- 泳ぎが不安定になる
松かさ病発症初期から、一部の鱗が少しずつ浮いて立ち始めます。
また、体も若干ですが膨らみ始めてきます。
それに伴い浮力のコントロールが難しくなるのか、泳ぎが遅く不安定になってきます。
初期は餌も普通に食べて元気ですが、上記のような症状が見られたら松かさ病をすでに発症しているので、重症化する前にすぐに治療を始めましょう。
ベタの松かさ病の末期症状
ベタの松かさ病が重症化して末期まで進むと、どのような症状が現れるのでしょうか。
松かさ病の初期症状を見逃してしまい末期まで進むと、次のような症状が見られます。
- 体がパンパンに膨らむ
- 全身の鱗が松ぼっくりのように開いて立つ
- 眼球が飛び出る(ポップアイ)
松かさ病が末期症状までになると、ベタの体が芋虫のようにパンパンに膨らみます。
さらに、全身の鱗が松ぼっくりのように開き、立った状態になります。この状態が松かさ病の名前の由来となっています。
また、ベタの眼球が外側に飛び出してしまう「ポップアイ」を発症するケースもあります。
このような末期症状まで進むと、腸管にひどい炎症が起きていたり腹水が溜まるなど、内臓が深いダメージを負っている状態なので、完治させることは難しくなります。
松かさ病の治療は早期発見・早期治療が非常に重要です。
ベタの松かさ病初期は塩浴治療で大丈夫?
ベタに松かさ病の初期症状を見つけた場合、どのような治療をすれば良いのでしょうか。
病気の初期ならば、塩浴治療だけでも効果があるのでしょうか?
松かさ病の初期の場合、塩浴だけも十分に治療が可能です。
ただし、体表に赤い充血が見られる場合などには、初期でも薬浴を合わせて行った方が良いでしょう。
前述の通り、松かさ病の原因は内臓機能の低下です。
そのため初期であれば、ベタの体力と自然治癒力を高め、内臓機能を正常化してあげれば治る可能性が高いです。
塩浴は、浸透圧の差を小さくする効果により、ベタの負担を減らし、病気を治すための体力を高める効果があります。
また、新陳代謝が上がり、自然治癒力が高まるという効果もあるので、松かさ病の初期には塩浴が効果的です。
ただし、ベタの体表に赤い斑点などの充血が見られたら、原因がエロモナス菌の可能性が高いので、初期から薬浴をした方が治療効果が高まります。
ベタの症状を確認して、塩浴か薬浴かを判断しましょう。
ベタの松かさ病の治療法と薬
ベタが松かさ病を発症してしまったら、どのように治療すれば良いのでしょうか。
ベタの松かさ病の治療方法は次のような流れになります。
- 水温は25℃程度を保つ
- 水換えをする
- 初期ならば塩浴
- 塩浴で効果が無い場合や細菌感染が疑われる場合、また重症の時は薬浴
- 発症原因によっては薬餌を行う
以上のような流れになります。
松かさ病の治療の場合には、水温を25℃程度にします。
一般的な病気の治療の時は、水温を26~28℃の高水温にしたほうが、ベタの代謝が上がり治療効果が高まります。
ですが、松かさ病の治療では少し低めの温度にします。
なぜなら、エロモナス菌が爆発的に増える適温が25℃~30℃以上の高水温だからです。
エロモナス菌の繁殖をなるべく抑えつつ、それでいてベタにとって低すぎない温度の25℃程度に設定します。
松かさ病は水質の悪化が発症の原因になるので、水槽の水換えを行います。
その後、塩浴や薬浴を行いましょう。
飼育水槽とは別容器で塩浴や薬浴を行う際は、全て新しい水にするか、飼育水を半分くらい入れて、残りは新しい水を入れて治療を開始すると良いでしょう。
症状が初期で、エロモナス菌の感染症状が見られない松かさ病の場合には「塩浴」が有効です。
0.5%の塩分濃度の塩水で塩浴させます。
エロモナス菌の感染が疑われる場合や塩浴で効果がなかった時、すでに重症の場合には薬浴と塩浴を合わせて行います。
使う薬はエロモナス菌に高い効果を発揮する「観パラD」や、「グリーンFゴールド」を使います。
これらの薬で効果が見られない場合には「エルバージュエース」を使いましょう。
0.5%塩分濃度の塩水に、水量に合わせた規定量の薬を徐々に入れていきます。
治療は1クール1週間を目安に行います。
松かさ病は重症になるほど治療期間が長くなります。時には数週間から1ヶ月ほどかかる事もあるので、根気よく治療していきましょう。
薬浴で効果が見られない時には、「薬餌」を行うと良いでしょう。
薬餌とは、規定量の薬に餌を浸し、乾かしたものをベタに与えると言うものです。
薬を染み込ませた餌を与える事で、薬浴では薬の効果が届きにくい内臓に対し、直接薬を届ける事ができます。
観パラDやグリーンFゴールド顆粒で作った薬液に餌を浸し、乾かしてから与えてみてください。1日2~3粒程度与えればOKです。
また、餌を乾かす際は直射日光の当たらない場所で乾かしましょう。グリーンFゴールド顆粒などの薬の薬効は、日光に当たると分解されてしまい、効果を発揮しなくなるからです。
以上が松かさ病の治療方法です。
松かさ病は重症になると完治がかなり難しいので、まずは罹らないように予防することが大切です。
- 温度を一定に保つ
- 水質が悪化しないよう適度な水換えをする
- 餌を与えすぎない(少な目にする)
- 消灯前に餌を与えない
- 古くなった餌を与えない
これらの点に注意する事で、松かさ病にかかる確率をかなり減らせます。
気をつけていても罹ってしまった場合には、初期症状を見逃さないようにして、早期治療を心がけましょう。
ベタの松かさ病は水換えや餌やりをしても大丈夫?
ベタが松かさ病に感染した時は、水換えをしたり餌を与えたりして大丈夫なのでしょうか?
結論から言うと、水換えはした方が良いですが、餌は与えずに絶食にしましょう。
松かさ病は水質悪化が引き金になります。
水が汚れるとエロモナス菌が爆発的に増えますし、水質悪化でベタにストレスがかかり免疫力が落ちます。
水換えを行うことで、汚れた水を排出すると同時にエロモナス菌の数を減らすことができ、さらにベタのストレスも緩和できるので、積極的に水換えは行いましょう。
また、塩浴や薬浴で松かさ病の治療をする際も、できれば毎日水を交換してください。
毎日全ての水を交換する全換水が良いのですが、ベタの衰弱がひどい場合には、2~3日毎(ごと)に全換水するか、もしくは毎日1/3量ずつの水換えでも大丈夫です。
水換えする際は、新しく入れる水の量に合わせた薬と塩を入れて、それぞれの濃度を保つようにしましょう。
松かさ病に罹ったら、餌は基本的に与えないようにします。
松かさ病は内臓機能の低下が原因です。
この状態で餌を普段通り与えてしまうと、餌を上手に消化吸収できず、消化不良を起こすなどして症状を悪化させてしまう恐れがあります。
治療で薬餌を与える事もありますが、なるべく負担を減らすために1日2~3粒と少な目に与えます。
治療の1クールの目安である1週間は絶食で様子を見て、調子が上がってきたら少量ずつ餌を与えていくと良いでしょう。
ベタの松かさ病まとめ
- 松かさ病発症の原因はハッキリしていないが、エロモナス菌や消化不良などが原因とされている
- 松かさ病の初期症状として鱗が少し浮いたり体が膨れてくるなどがある
- 初期の松かさ病には塩浴が効果的
- エロモナス菌感染が疑われる場合などには観パラDなどで治療する
今回はベタの松かさ病についてご紹介しました。皆様のベタ飼育の参考にしていただけると幸いです。