
ネオンテトラの繁殖は難しいのか?
ネオンテトラの繁殖難易度はそれほど高くはないですが、繁殖が容易なメダカ類などと比べると繁殖難易度は高いのかもしれません。
ただネオンテトラの繁殖方法をしかり理解し正しい方法で飼育していれば個人での繁殖を成功させることは可能です。
そんなネオンテトラの繁殖を成功させるための方法やコツをご紹介しています。
目次
ネオンテトラの好む水質と繁殖の関係
ネオンテトラに限ったことではないですが、熱帯魚の繁殖を考える時にはまず、ネオンテトラが好む水質環境を維持することが前提となります。
ネオンテトラが落ち着いて繁殖できるような環境の確認からしていきましょう。
ネオンテトラなどの小型カラシンは水質の悪化には強いですが古い水に弱く、水が古くなると白点病やエロモナス病にかかりやすくなりますので定期的な水換えを行ってください。
ネオンテトラの好む水質は弱酸性のpH6.5程度で逆に弱アルカリ性の水質で飼育すると発色が悪くなることが多いですのでpH管理には注意しましょう。
ペーハーを測定してみて高いようならペーハー値を下げ、南米原産の熱帯魚などが好む水質に近づけていくようにするといいでしょう。
市販のものでも熱帯魚の好む自然環境を再現するのに適したブラックウォーターなどの商品も販売されていますので、うまく取り入れてみましょう。
水温は26℃設定にしておけば問題はありませんが、夏場などで水温の上昇が考えられる時には暑さ対策や高水温対策も必要となってきます。
ネオンテトラは基本的には丈夫な熱帯魚ですが、小型カラシンと呼ばれるように体が小さいため極度の環境変化に耐えられるような強靭さを持ち合わせていません。
よって30℃を超えるような水温になってしまうと徐々に体力の消耗が大きくなり、35℃にもなるとふらふらとしてしまいますので注意してください。
ネオンテトラの混泳と繁殖

ネオンテトラは温和な熱帯魚で、他の熱帯魚を攻撃するようなことはありませんので混泳を考える際には逆にネオンテトラを攻撃したり捕食したりしないものを選ぶようにすれば問題ないでしょう。
気性が荒くなく、縄張り意識などがないものやネオンテトラと同じくらいの大きさの小型カラシンなどが相性が良いと言えるでしょう。
混泳の際には同じような水質環境を好む熱帯魚やエビなどを選ぶことが大切なことですのでネオンテトラの原産であるアマゾン川原産の熱帯魚などを組み合わせてみてはいかがでしょうか。
ただネオンテトラの繁殖を考えている時には他種との混泳は控えたほうがいいでしょう。
ネオンテトラが警戒して繁殖行動に入らないことや産卵された卵が狙われてしまうことなどが懸念されます。
ネオンテトラの繁殖方法と難易度
今では小型カラシンの代表的存在となっているネオンテトラですが、実は長い間人工繁殖に成功しなかった繁殖難易度が高い熱帯魚でもあるのです。
その繁殖に初めて成功したのが1953年頃で、それまでの熱帯魚の繁殖方法とは少々異なっていました。
繁殖の第一条件は若い親魚を確保することです。
ネオンテトラは成育がはやく、4~6か月程度で親魚となり、雌は腹部が膨らみ、抱卵の前兆を示し、雄はすらりとしたスタイルできびきびと動き体長と比べて各ヒレが大きいことで判別ができます。
ネオンテトラの繁殖には水槽の飼育水を弱酸性に保つことが大切で、pH6.5くらいを保てるように管理します。
本水槽で繁殖を試みる場合と繁殖用水槽を用いる場合でその後の管理方法も若干変わってきますが、繁殖用水槽を用いるのであれば水槽の底に大磯砂を煮沸殺菌したものをまばらに敷いておくことでばら撒かれた卵が大磯砂の隙間に落ち込み親魚に食べられてしまうのを防ぐことができます。
他にもウィローモスなどの水草をある程度敷き詰めることでも同じような効果が見込めるのでどちらの方法をとるかはその時の状況で選べば良いでしょう。
ウィローモスなどの水草は卵を守る以外にも水質の浄化や酸素の供給などにも一役かってくれる優れものでもあります。
親魚を繁殖用水槽に移したら水温は26℃に保ち、照明は極力抑え気味にします。
ここが一般的な熱帯魚とネオンテトラの繁殖方法の大きな違いでネオンテトラは産卵から孵化、稚魚の成長期間まで薄暗い環境を好み、逆にいきなり強い光を当ててしまうと稚魚がショック死してしまうこともあります。
このような環境はネオンテトラの生息地でもあるアマゾン川の水質とも関係しているようで腐植酸が多く溶け出し、茶色く濁ったような状態の水質でもあるブラックウォーター状態になることによりもしかしたら外敵から稚魚の身を守る働きをしているのかもしれません。
このような性質を考えると昨今の水草水槽などでは、メタハラやLEDといった水草を元気に育てるために光量の強い照明が主流となっていますので、そのような照明を利用されている方はネオンテトラの繁殖時には照明の検討をしなければならないかもしれません。
ネオンテトラの繁殖(産卵)時期
上記状況をまとめるとネオンテトラの繁殖時期は季節的な影響ではなく、親魚が繁殖できるまでに成長していれば可能ということになります。
ネオンテトラなどの熱帯魚を飼育している環境であれば、必ずと言っていいほどヒーターも設置しているはずですので水温が低すぎる問題もないはずです。
ネオンテトラが繁殖できるまでに成長したら水質と水温をしっかり保ち、照明の照度を落とすことで繁殖環境を整えることができます。
また、弱酸性の水質に保ち、水中への光の差し込みを減らす効果も考えると市販のブラックウォーターなどを用いるのも効率的な方法と言えるでしょう。
産卵から卵の孵化
繁殖水槽へは雌1匹に対して雄を2匹~3匹程度入れてあげると無精卵になる確率が下がります。
ネオンテトラの繁殖が難しいといわれている理由の一つがこの受精率にあり、産卵時に卵がばら撒かれ、その卵に雄が射精するので雄の個体数が少ないと無精卵が増えてしまうことにも繋がるのです。
産卵が確認できたら親魚は本水槽に戻し、水温を30℃に上げてあげると12時間ほどで孵化を始めます。
別水槽が用意できない場合にはサテライトなどの隔離ケースで飼育する方法もあります。
生まれたばかりの稚魚はまだ遊泳能力が低く、水槽の底のほうでじっとしていることが多いですが、腹部の膨らみが小さくなり水平に泳ぎだしたら餌を与えるようにしましょう。
ネオンテトラの稚魚の餌
3日目から4日目くらいで活発に泳ぎだし餌を食べるようになりますので最初は卵黄を溶かして与えるか、稚魚用の餌を与え、1週間ぐらいからブラインシュリンプなどを与えるようにしましょう。
餌の量にも注意が必要であまりたくさん与えすぎると食べ残しとなり水槽の水質を悪化させやすくなってしまうので回数をわけて少しづつ与えるようにしましょう。
繁殖用水槽は小さな稚魚がいるためろ過フィルターで積極的にろ過をするようなことはあまりできませんので、できる限り水を汚さないような管理が必要となってきます。
ネオンテトラの繁殖まとめ
- 繁殖を成功させるためには繁殖に適した水質維持が大切。
- 繁殖を考えているときにはネオンテトラの単独飼育を行う。
- 繁殖には成熟した若いネオンテトラが向いている。
- 卵を産み落とす場所(産卵床)を考慮して卵が食べられないようにする。
- 照明を薄暗くする。
- ブラックウォーターは繁殖に最適な水質を作る。
- ヒーター管理されている水槽では通年産卵をすることができる。
- 無精卵を減らすためには雄の割合を増やし、受精率を上げる。
今回はネオンテトラの繁殖を成功させるための方法とコツをご紹介いたしました。ネオンテトラの繁殖の参考にしていただければ幸いです。