ネオンテトラが繁殖する環境とは?
ネオンテトラの繁殖方法とは?
ネオンテトラの産卵方法と卵の育て方は?
ネオンテトラの稚魚の育て方は?
こんなネオンテトラの繁殖に関する疑問についてご紹介いたします。
ネオンテトラが繁殖する環境とは?
繁殖が難しいとされるネオンテトラですが、その要因の一つは、ネオンテトラの繁殖行動を促す環境を整える必要があるという点です。
では、ネオンテトラの繁殖スイッチが入るような環境とは、一体どのような環境なのでしょうか?
ネオンテトラは元々アマゾン川に生息する熱帯魚なので、その環境を再現してあげる事で繁殖スイッチが入りやすくなります。
元いた環境を再現するポイントとなるのが、水質と水温です。
ネオンテトラが好んで生息するアマゾン川流域は、川底に堆積した枯れ葉などの影響により「ブラックウォーター」となっています。
ブラックウォーターとは、枯れ葉などから染み出したタンニンの影響で、クリアな茶色から黒色をした水の事です。
水がブラックウォーターになると、タンニンなどのフミン酸やフルボ酸の影響により、pHと硬度が下がるため、水質が酸性化・軟水化します。
元々このような環境に生息していたネオンテトラの繁殖を促すには、pH5.5〜6.5程度の弱酸性のブラックウォーターが適しているのです。
ブラックウォーターはマジックリーフやヤシャブシの実、ピートモスを使用して作ることができます。
もしくは、「テトラ ブラックウォーター」などの水質調整剤を添加するのもお手軽で良い方法です。
次に大切なのが水温です。
ネオンテトラは水温20℃から28℃程度に適応しますが、繁殖を促す際には水温25℃〜26℃程度が最も負担が少なく適しています。
以上がネオンテトラの繁殖に適した環境です。
ネオンテトラの繁殖方法
ネオンテトラの繁殖行動を促すために必要な環境は分かりました。
では、ネオンテトラの具体的な繁殖方法とはどのようなものなのでしょうか?
ネオンテトラの繁殖手順は以下の通りです。
- 繁殖環境を整えた繁殖用水槽を用意する
- オスとメスを繁殖用水槽に移してペアリングする
- メスが産卵したら親魚を速やかに元の水槽に戻す
以上がネオンテトラの繁殖方法です。
繁殖水槽などを用意せずに自然繁殖させる方法もありますが、かなり難易度が高く、繁殖に適した環境と運要素も関係してきます。
繁殖水槽を用意せずに本水槽で自然繁殖させる方法についてはこちらの記事をご覧下さい。
繁殖環境を整えた繁殖水槽を用意する
最初に、繁殖用の水槽を用意します。
普段ネオンテトラを飼育している本水槽でも産卵させることは可能ですが、本水槽で卵を孵化させ稚魚を育てるためには、そのための環境づくりが必要です。
しかし、本水槽で繁殖させるための環境づくりは難易度が高い上に、必ずしも成功するとは限りません。
別に繁殖用水槽を用意して繁殖させた方が、より安全で繁殖の成功率も高いので、こちらの方法をおすすめします。
繁殖用水槽は20cm〜30cm程度の大きさのものを使用します。
あまり小さいと水質が悪化しやすくなりますし、逆に大きすぎても孵化した稚魚が餌を見つけにくくなるので、20cm〜30cm程度の大きさがおすすめです。
ブラックウォーターを準備する
水槽を用意したら、pH5.5〜pH6.5、水温25℃〜26℃に設定したブラックウォーターを準備します。
ブラックウォーターは別容器で作り、水槽に注ぐ方法がおすすめです。
マジックリーフやピートモスなどを使ってブラックウォーターを作る場合、成分が水に溶け出るまで時間がかかります。
また、水槽にマジックリーフやピートモスなどを入れたままにしておくと、水質悪化の原因にもなります。
別容器にマジックリーフなどを入れて事前に準備しておけば、十分な濃さのブラックウォーターをすぐに使うことができ、水換えも楽になるのでおすすめです。
成分が出て十分な濃さのブラックウォーターになったら、マジックリーフなどを取り出し、エアレーションをかけておくと水質悪化しにくくなります。
基本的に繁殖用水槽にはエアレーションは付けないので、水質悪化防止の意味でも別容器でブラックウォーターを作った方が安全です。
「テトラ ブラックウォーター」を使う場合は、すぐにブラックウォーターができるので、事前に水を作る必要はありません。
ブラックウォーターを用意したら、水槽に鉢底ネットを設置して、親魚の遊泳スペースと卵のスペースを分けます。
こうすることで、親魚が卵を食べてしまうのを防ぐ事ができ、より多くの卵を得る事が可能になります。
鉢底ネットの設置方法は様々ですが、簡単な方法は以下の通りです。
- 鉢底ネットの奥行きは、水槽の奥行きにピッタリはまるくらいの長さに調節する
- 鉢底ネットの横幅は、鉢底ネットを水槽の半分くらいまで沈めた時に、水槽上部の縁に来るくらいの長さにする
- 鉢底ネットを水槽の半分くらいの高さまで沈め、両端は水槽上部で洗濯バサミなどで止める
これで、親魚のスペースと卵のスペースを分けた繁殖用水槽の完成です。
親魚が産卵すると、卵は鉢底ネットの隙間を通って水槽の底に落ちるので、親魚に食べられる事なく卵を得る事ができます。
このほか、繁殖用水槽の水温を維持するために、ヒーターなどを設置しておきましょう。
以上のような繁殖用水槽を用意したら、親魚となるネオンテトラを準備します。
オスとメスを繁殖水槽に移してペアリングする
繁殖のための親魚は若魚を選ぶというのが重要なポイントです。
ネオンテトラは成長が早い魚で、生後4ヶ月から6ヶ月程度で成魚となります。
そのため、ネオンテトラの最大サイズである3cm程度の大きさの個体では、すでに老齢である可能性が高く、繁殖に適していません。
繁殖には若い個体が適しているので、まだ最大サイズまで成長していない、2.5cm前後の個体を選ぶようにしましょう。
産卵可能なメスは体が丸みを帯びており、お腹もふっくらと大きくなります。
2.5cm程度のそのようなメスを見つけたら、親魚に最適です。
すぐに確保して繁殖用水槽に移しましょう。
オスはメス1匹に対して2〜3匹用意します。
これは卵の受精率を上げるためです。
繁殖用水槽にオスとメスを移し、ペアリングが成功すると、メスはお腹に卵を抱えます。
メスが妊娠して抱卵すると、お腹がより一層ポッコリと大きくなるのですぐに分かると思います。
お腹の膨らんだメスが水槽の底の方でジッとしていたり、急に泳ぎ出して落ち着きが無くなったりしたら、産卵が近い兆候です。
通常は、ペアリングしてから半日から2日程度で産卵します。
無事に産卵が終わったら、親魚を元の水槽に戻してあげましょう。
以上がネオンテトラの繁殖方法です。
ネオンテトラは繁殖難易度は高いので、繁殖に適した環境を用意してあげたとしても、1発で繁殖に成功するとは限りません。
その時は、ペアを変えたりしながら何回かチャレンジしてみて下さい。
ネオンテトラの産卵方法と卵の育て方
ネオンテトラのメスは、卵をそのまま底砂の上にばら撒くような産卵方法をとります。
そのため、繁殖用水槽には底砂を敷かずに、ベアタンクにした方が卵の管理がしやすくなります。
何故なら、底砂を敷いてしまうと、卵が底砂の間に入り込むなどして発見できなくなるからです。
親魚水槽でそのまま繁殖させる場合には、底砂や水草を豊富に入れて卵を親魚から守る必要がありますが、卵だけ隔離して孵化させる繁殖用水槽の場合は、ベアタンクにして卵を見つけやすくした方が管理しやすく育てやすいです。
産み落とされた卵はそのまま繁殖用水槽で孵化させます。
水温はネオンテトラの適温である25℃から26℃をキープします。
卵が正常ならば、1日前後で孵化するでしょう。
以上がネオンテトラの産卵方法と卵の育て方です。
卵が正常に孵化するには適温を維持することが大切なので、ヒーターやクーラーなどを使い、適温をキープするようにしましょう。
ネオンテトラの稚魚の育て方
卵が孵化してネオンテトラの稚魚が生まれてホッと一安心。と、感じるかもしれませんが、本当に大変なのはここからです。
ネオンテトラの繁殖が難しいと言われる最大の要因は、実は稚魚育成の難しさにあるのです。
ネオンテトラの稚魚の育成が難しいとされるのは、稚魚の体の小ささに起因した次のような問題があるからです。
- 餌を与えるのが難しい
- 水質や水温の急変に弱い
- 強い照明に弱い
生まれたてのネオンテトラの稚魚は極小サイズです。
あまりに小さいので、メダカやグッピーの稚魚が食べるようなベビー用の人工飼料や、ブラインシュリンプなどを食べる事が出来ません。
そのため、ネオンテトラの成長に合わせた餌選びが重要になります。
生まれたてのネオンテトラの稚魚が食べられるのは、インフゾリアなどの微生物です。
インフゾリアは無精卵をそのまま放置しておく事で沸かせることが出来ますが、それだけでは量が少ない可能性があるので、別にインフゾリアを添加すると良いでしょう。
インフゾリアはアクアショップのほか、ネット通販でも取り扱いがあります。
また、メダカの稚魚飼育で使われるグリーンウォーターも、ネオンテトラの稚魚飼育に適しています。
グリーンウォーターの正体は植物性プランクトンです。
そのため、グリーンウォーターの中で稚魚を泳がせるだけで、どんどん餌を食べる事が出来るため、餓死する心配が少なくなります。
他には、微生物の元やPSBなども、生後間もないネオンテトラの稚魚の餌としておすすめです。
ネオンテトラの稚魚が生まれたら、これらの餌を十分に与えてあげましょう。
生後5日程度経過すると、冷凍ワムシや孵化したてのブラインシュリンプが食べられる様になります。
これらの餌は1日2〜3回与えるようにし、食べ残しはその都度回収するようにして下さい。
生後10日以上になると通常サイズのブラインシュリンプが食べられるようになります。
稚魚の体が成長するにつれて、徐々にベビー用の人工飼料も与えて慣れさせると良いでしょう。
生後1ヶ月ほど経過すると、体長が1cm程まで成長します。
このくらいの大きさになれば親魚と同じ水槽に移して問題ありません。
このように、生まれたてのネオンテトラは体が小さく、食べられる餌が限られるので、体のサイズにあった適切な餌選びが重要です。
次に注意したいのが水質と水温の急変です。
ネオンテトラは水質や水温の変化に強い丈夫な魚ですが、体の小さな稚魚はまだそれほど丈夫では無く、水質や水温の急変に耐えられません。
また、水質の悪化にも弱いので、食べ残しなどを放置するのも危険です。
そのため、生後5日程度経過して冷凍ワムシなどの餌を食べるようになったら、できるだけ毎日、少量の水換えを行って水質を管理するようにして下さい。
水換えと言って、それほど難しい事はありません。
食べ残しなどの汚れをスポイトで取り除き、減った分の水を新しく足せばOKです。
ただし、吸い出す水の量が全水量の1/5以上にならないように注意して下さい。
この時、新しく足す水は、別容器に作っておいたブラックウォーターや、「テトラ ブラックウォーター」で調節した水を使います。
新しく足す水はヒーターなどを使い、あらかじめ稚魚水槽の水温と同じ温度に合わせておきましょう。
このように、毎日少量の水を交換する事で、フィルター無しでも水質をキープする事が可能です。
次に注意したいのが照明です。
通常、熱帯魚を飼育する水槽には照明ライトを取り付けますが、ネオンテトラの繁殖に照明は必要ありません。
特に稚魚は強いライトの光に弱く、強すぎる光を浴びると死んでしまう恐れがあると言われています。
そのため、ネオンテトラのペアリングから卵の孵化、稚魚の育成までの期間、照明を点ける必要はありません。
以上がネオンテトラの稚魚の育て方です。
体が小さく繊細で、育てるのが難しいネオンテトラの稚魚ですが、ポイントを抑えて育成すれば、自宅で繁殖させて育てる事が出来ます。
ぜひネオンテトラの繁殖にチャレンジしてみて下さい。
ネオンテトラの繁殖まとめ
- ネオンテトラの繁殖に適した環境は、水質がpH5.5からpH6.5、水温が25℃から26℃の環境
- ネオンテトラの繁殖は、別に繁殖用水槽を用意して親魚をペアリングさせた方が繁殖させやすい
- ネオンテトラの卵は水温25℃から26℃で1日前後で孵化する
- 生まれたての稚魚にはインフゾリアなどの微生物を与え餓死を防ぐ