コリドラスは薬浴をしても大丈夫?
薬浴はコリドラスの寄生虫や水カビ病に効果がある?
コリドラスの薬浴のやり方を知りたい。
コリドラスの薬浴の期間はどのくらい?
こんなコリドラスの薬浴に関する疑問についてご紹介いたします。
コリドラスは薬浴をしても大丈夫?
コリドラスの体表に白い斑点が見られたり、ヒゲが溶けていたりなど、何かしらの病気を疑う症状が見られた場合、コリドラスに薬浴を行なっても大丈夫なのでしょうか?
その答えは、「薬を使って治療して良いが、コリドラスの体力を見ながら薬の量を調節する事」です。
コリドラスなどのナマズの仲間は、薬に敏感で影響を受けやすいとされています。
魚病用の薬には、薬の効果である「薬効」の他に、魚にダメージを与える「毒性」もあります。
コリドラスなどのナマズの仲間は、体内へ取り込む薬の量が多いために、他の魚に比べて薬の影響を受けやすいのです。そのため、薬の毒性の影響も強く受けます。
よって薬を使ってコリドラスの病気の治療をする際は、薬の使用量を調節する必要があります。
コリドラスをはじめとしたナマズ目の魚は、病気の発症初期であれば、水換えと塩浴だけで自然治癒することも多くあります。
それだけナマズ目の魚は体力が高く丈夫です。
ですが、水換えや塩浴では治療効果を得られない病気や、症状が進行してしまった病気には薬を使う必要がどうしても出てきます。
そのような場合、まずは薬効が弱めの薬を規定量の半分以下の量から使い始めると安心です。
コリドラスの症状と体力を考慮して、使う薬と使用量を調節するようにしましょう。
薬浴はコリドラスの寄生虫や水カビ病に効果がある?
コリドラスに発生する病気に、寄生虫やカビ菌を由来とした病気があります。
これらの病気の治療に薬浴は効果があるのでしょうか?
寄生虫やカビ菌を原因とするコリドラスの病気に薬浴は効果があります。
特に、寄生虫が原因となる病気の大部分が薬でしか治せないので、薬浴必須と言えるでしょう。
コリドラスに発生しやすい寄生虫由来の病気は「白点病」です。
「ハクテンチュウ(ウオノカイセンチュウ)」という寄生虫がコリドラスの体表に寄生することで発症します。
水槽内にハクテンチュウがいたとしても、コリドラスが健康ならば寄生できないので、白点病を発症しません。
しかし、何らかの原因でコリドラスが体調を崩し免疫力が低下してしまうと、ハクテンチュウに寄生され白点病を発症します。
また、ハクテンチュウは25℃以下の低水温で活発に活動します。
一方、コリドラスなどの熱帯魚は低水温で免疫力が低下するので、25℃以下の低水温では白点病の発症リスクがより高まることになります。
白点病は感染力が高く、症状の進行も早いので、早期発見・早期治療が基本です。
コリドラスの体表に白い斑点が現れ、体を痒がる仕草を見せたら白点病の可能性が高いので、すぐに治療しましょう。
このほか、ワイルド個体(自然で採取された個体)には、イカリムシなどの寄生虫が寄生している可能性があります。
イカリムシの親虫の体長は数ミリほどの大きさなので、肉眼で確認する事ができます。
通称「ピロピロ」と呼ばれる通り、コリドラスの体表から糸のようなイカリムシがピロピロと伸びているのが見られます。
この他にも、主にエラに寄生する「ダクチロギルス」、「ギロダクチルス」という寄生虫が寄生している事もあります。
これらの寄生虫は外部から持ち込まない限り、ご自宅の水槽で発生することはありません。
そのため、細菌感染由来の病気などに比べたら、寄生虫由来の病気は見かける機会が少ないでしょう。
しかし、一度発生すると進行が早く、コリドラスが衰弱死してしまう危険性がある上、完全駆除が難しいという難点があります。
生体の新規導入時などは一度トリートメントするなどの注意が必要です。
白点病の治療には「アグテン」や「ヒコサンZ」を使います。
イカリムシ、ダクチロギルス、ギロダクチルスの治療には、「マゾテン」という安全性の高い薬があったのですが、製造中止となってしまったので、今後手に入らなくなってしまいます。
他の薬としては「リフィッシュ」や「トロピカルN」という薬があるのですが、これらは基本的に熱帯魚には使用不可となっているので、使用する際はご自身の判断でお願いいたします。
また、イカリムシの場合、手間はかかりますが薬を使わない駆除方法もあります。
それは、「コリドラスに寄生しているイカリムシをピンセットで除去し、水槽の水を全て取り替える」という方法です。
コリドラスに寄生しているイカリムシは親虫です。
これは薬でも死なないので、どちらにしてもピンセットで取る必要があります。
次に、水槽内にイカリムシの幼虫が漂っているので、これを除去するために水槽内の水を全て交換してリセットします。
手間はかかりますが、この方法ならば薬を使わなくてもイカリムシを除去できるので、「薬を使いたくない」もしくは「薬が手に入らない」、という場合は試してみてください。
次に水カビ病についてです。
水カビ病はコリドラスに発生する病気の中では治しやすい部類ですが、手遅れになると全身が水カビに侵食されて衰弱死してしまうので、早めの治療が大切です。
水カビ病は、何らかの原因でコリドラスの体表にできた傷口からの二次感染が発症の主な原因です。
また、食べ残しや糞を放置するなどで水槽内が富栄養状態になると、カビ菌が爆発的に増えてしまうので、食べ残しなどは放置しないように注意しましょう。
水カビ病の初期ならば、水温を26℃〜28℃ほどの高めに保ち、水換えを頻繁に行うだけでも自然に治ることがあります。
しかし、水換えなどでは治らず症状が進行する場合や、素早く治したい場合には、薬を使って治療したほうが確実です。
水カビ病の治療には「グリーンFリキッド」などの「メチレンブルー系」の薬を使います。
以上のように、寄生虫や水カビ病に薬浴は有効なので、もし発生した場合には早期に治療を開始するようにしましょう。
コリドラスの薬浴のやり方
コリドラスを薬浴させる場合、どのような方法で行えば良いのでしょうか。
コリドラスに限らず、魚の病気の治療方法にはハッキリとした正解がありません。
病気の正確な判断がまず難しいですし、魚の種類によっても薬の効き具合が違かったりするからです。
なので今回は、コリドラスの薬浴で一般的に多く行われている方法をご紹介します。
コリドラスの薬浴のポイントは以下の通りです。
- 薬は規定量より少なめにする
- 治療は隔離容器で行う
- 治療期間中は毎日水換えをする
- エアレーションとヒーターを隔離容器に設置する
前述の通り、コリドラスは薬に敏感なので、薬の説明書に書いてある規定量よりも少なめの量を添加します。
この量もコリドラスの体力によって変わるのですが、最初は規定量の半分以下で始めると良いでしょう。
半分以下の濃度で効果が得られない場合には、濃度が低すぎるか薬の選択が間違えているかのどちらかになります。
濃度を上げてみる、もしくは薬を変えて同じ濃度で再度治療を行うようにします。
治療は飼育水槽ではなく隔離容器で行うのが基本です。
しかし、場合によっては飼育水槽でそのまま治療しなければいけないケースもあります。
寄生虫が発生して多数のコリドラスが感染している場合などがそうです。
それ以外は基本的に、病気の魚のみを隔離容器に移して治療します。
治療期間中は全ての水を交換します。
この時、交換する水はカルキ抜きして水温合わせを行い、薬も添加しておきます。
薬の濃度は常に一定になるようにしてください。
ただし、コリドラスの体力の消耗が激しい場合には、1/3程度の換水にとどめるなど調節するようにします。
エアレーションとヒーターの設置も忘れてはいけません。
エアーストーンなどでエアーを送り、ヒーターで水温を保つようにします。
以上がコリドラスの薬浴方法です。
コリドラスの薬浴の期間
コリドラスを薬浴する場合、どのくらいの期間行えば良いのでしょうか。
薬浴期間は病気の原因によって変わります。
以下が病気の原因ごとの平均的な薬浴期間です。
- 細菌感染症:1週間
- 水カビ病:5日間〜1週間
- 寄生虫感染:1日〜10日
エロモナス菌やカラムナリス菌などの細菌由来の病気の薬浴期間は、約1週間程度です。
細菌感染の場合、2〜3日程度の短期間で治療をやめてしまうと、耐性菌発生の危険性があるので、最低でも1週間程度はしっかりと治療したほうが良いとされています。
水カビ病は早ければ数日で改善しますが、傷口の殺菌のためにも5日〜1週間程度は続けた方が安心です。
寄生虫は種類によって駆除期間が変わります。
イカリムシなどは1日〜2日程度の短期間で駆除できますが、白点病の原因であるハクテンチュウは駆除までに時間がかかるため、1週間〜10日前後は薬浴させた方が良いです。
このように、コリドラスの薬浴期間は病気の原因によって変わりますし、使う薬によっても変わってきます。
まず大切なのは、何が原因で病気が発生したのか、出来るだけ正確に判断する事です。
その上で、その病気に適した薬を選ぶ事が重要です。
病気にあった適切な薬を選べば、より高い効果が見込めるので、薬浴する期間も短くなります。
また、コリドラスの体力の消耗具合によっては、治療の途中でインターバルを挟む必要も出てくるので、コリドラスの様子を観察しながら薬浴による治療を行うようにしましょう。
コリドラスの薬浴まとめ
- 薬の量を調節すればコリドラスも薬浴できる
- 寄生虫は主に薬浴でしか駆除できない
- コリドラスを薬浴する際は規定量の半分以下の量から始める
- 薬浴期間は病気の原因によって変わる
今回はコリドラスの薬浴に関する疑問についてご紹介しました。皆様のコリドラス飼育の参考にしていただけると幸いです。