ベタは肺呼吸ができる熱帯魚?ベタの呼吸法は?
ベタにはエアレーション不要?酸素なしでも大丈夫?
ベタはエアレーションの酸素が好き?それともストレス?
水槽内のエアレーションの効果と酸素の必要性とは?
ベタ水槽のエアレーションにおすすめの商品を知りたい。
ベタの酸素不足解消におすすめの商品を知りたい。
こんなベタのエアレーションと酸素の関係についてご紹介いたします。
目次
ベタは肺呼吸ができる熱帯魚?ベタの呼吸法
ベタは酸欠に強い熱帯魚だと言われています。
その理由は、ベタが肺呼吸のような呼吸もできるからです。
ベタは普通の魚と同じエラ呼吸の他に肺呼吸のような呼吸もできる珍しい魚です。
※ここで「肺呼吸のような呼吸」と表現しているのはベタが肺を持たないため実際には肺呼吸ではないからです。
ベタがエラ呼吸以外の呼吸が可能なのは、「ラビリンス器官」を持っているからです。
ラビリンス器官は「上鰓器官(じょうさいきかん)」ともいい、その名前の通り、鰓(エラ)の上に位置します。
迷宮のように複雑な構造をしていることから、ラビリンスという名前がつきました。
この器官が発達したおかげで、ベタはエラ呼吸と空気呼吸の2つを行うことが出来るのです。
どうしてベタにこのような器官が備(そな)わったのかというと、ベタの生息地域に関係しています。
ベタはタイ原産の熱帯魚です。
タイは熱帯気候のため、1年通してとても暑いです。そのため水温も高めです。
水の温度が上がると水に溶け込む酸素の量が少なくなります。
さらにベタが止水域を好んで生息していることも大きく関係しています。
止水域とは水の流れがほとんど無いような環境です。
水の動きがないと空気中の酸素が水中に溶け込みづらいものです。
このようにベタが生息している環境は、水中の溶在酸素量(水に溶け込んでいる酸素量)が少ないため、それを補うために空気中から酸素を得る方法(ラビリンス器官)が発達したのだと考えられます。
ベタが時折水面に顔を出し、口をパクッとさせるのはラビリンス器官による呼吸しているのです。
なので、ベタを飼育する際は、ベタが水面に顔を出せるスペースを確保しておく事が大切です。
また、水深をあまり深くしてしまうと、水面まで泳ぐのが大変になってしまうので、15cm~20cmほどの水深にするのが良いでしょう。
ベタにはエアレーション不要?酸素なしでも大丈夫?
ベタは肺呼吸できる熱帯魚だということが分かりましたが、他の熱帯魚と同じように、エアレーションをしてあげた方が良いのでしょうか。
それとも、ベタはエアレーションによる酸素は無くても大丈夫なのでしょうか?
ベタには基本的にエアレーションは必要ありません。
ですが、飼育環境によってはエアレーションをしてあげても良いでしょう。
先程もお話しした通り、ベタはエラ呼吸の他に肺呼吸もできます。
エラ呼吸は水中の酸素を取り込むときに使い、ラビリンス器官による呼吸は空気中の酸素を取り込むときに使います。
なので、水中の溶在酸素量が少なければ、ベタは空気中の酸素を取り込み呼吸するので、エアレーションが無くても心配ありません。
逆にベタは肺呼吸が出来ないと酸欠を起こします。
それくらいラビリンス器官による酸素の取り込み割合が大きいという事です。
確かに、ベタもエラ呼吸をするので、水中の溶在酸素量が多いに越したことはありません。
ですが、そのためにエアレーションを行うことで強い水流が生(しょう)じるようなら、そのほうがベタにとって負担が大きいのでやめた方が良いです。
ベタにエアレーションをする時は、水流があまり起こらないように調節して行いましょう。
しかし、ベタ水槽にエアレーションが必要な場合もあります。
それは水槽にヒーターを設置している時です。
水の動きがない中でヒーターを使うとヒーターの周りだけが極端に暖かくなり、ヒーターから離れるほど冷たくなるという水温の差ができてしまいます。
エアレーションで水を適度に動かしてあげると、効率よく水槽全体が温まります。
エアレーションを行う場合は、ベタに負担が少ない緩やかな流れを作るようにしましょう。
エアレーションではなく、フィルターを利用して水を動かしてあげる方法でも問題ありません。
ベタはエアレーションの酸素が好き?それともストレス?
ベタがエアストーンから出る泡に向かって行ったり、泡を食べるような仕草を見せる時があります。
ベタはエアレーションの酸素が好きなのでしょうか。それとも、ストレスからそのような行動をしているのでしょうか?
ベタのこの行動は、エアレーションの泡が好きというよりも好奇心からくるものです。
ベタはとても好奇心旺盛な熱帯魚なので、色々なものに興味を示します。
エアストーンなどから湧き上がる泡によっていくのも、好奇心からです。
では、この行動がベタのストレスになるかというと、場合によってはなります。
エアレーションの気泡が大きすぎたり、勢いが良すぎたりすると、水が大きく動きます。
ベタは泳ぐの苦手なため、大きな水の動きはベタの体力を消耗させ、衰弱の原因になります。
また、気泡が当たる衝撃や水の動きでヒレが裂けてしまう事があります。
確かに、ベタがエアレーションの気泡と戯(たわむ)れている姿は、可愛らしく癒されますが、強すぎるエアレーションはベタの負担になるので注意してください。
水槽内のエアレーションの効果と酸素の必要性
肺呼吸できるベタにとっては、それほど重要なウエイトを占めないエアレーションですが、エアレーションを行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
エアレーションの効果と、水中へ酸素を送ることの必要性について見てみましょう。
エアレーションの効果と酸素の必要性には次のようなものが挙げられます。
- 水中への酸素の供給
- 水槽内の水の循環
- 油膜の防止
- 濾過バクテリアの活性化
- 新陳代謝の活性化
まずエアレーションの大きな目的は、「水中へ酸素を供給する」ことです。
エアーポンプで水中に空気を送り、水面を動かす事で酸素を水中に溶け込ませます。
実は酸素は空気に触れている水面から取り込まれます。
エアレーションで水面が波打つことで、水面と空気が触れる面積が広くなり、たくさんの酸素が水中に取り込まれます。
また、エアレーションで水流ができ、水槽内の水が循環することも、エアレーションの大きな効果の1つです。
水槽は底面に近づくほど、酸素濃度が下がります。水槽内の高さによって酸素濃度にムラが出てしまうのです。
エアレーションで水槽内の水を循環させることで、このムラを解消することが出来ます。
また、エアレーションで水面を動かすことで油膜の防止になります。
油膜は水槽内で発生した有機物が浮いている状態です。
油膜が水面を覆うと空気が油膜に遮られて水面に届かなくなるので、酸素が水中に溶け込みにくくなります。
それだけではなく、油膜はカビの原因になったりして水を汚してしまうので、なるべく発生させないようにしましょう。
多くの熱帯魚にとって水中の酸素は重要です。
エラ呼吸で呼吸をする魚は、水中に溶け込んでいる酸素を取り込んで呼吸しているので、水中の溶在酸素量が少ないと酸欠になってしまいます。
そのため、水中に酸素を送ることは単純に魚が生きるために重要なことです。
また、魚だけではなく濾過バクテリアにも酸素が必要です。
アンモニアや亜硝酸塩を分解してくれる濾過バクテリアは、「好気性バクテリア」と呼ばれるものです。
好気性という名前の通り、酸素を好むバクテリアなので酸素がある所に発生します。
また、酸素が豊富にあるほど活動が活発になります。
そのため、水槽内の酸素量が多いほど濾過バクテリアはたくさん増え、アンモニアや亜硝酸塩を分解する働きが活発になるのです。
つまり、水槽内の酸素量が多いほど、水槽内の生物濾過が進み、環境が良くなるということですね。
また、水中の溶在酸素量が多いほど、魚などの生体の新陳代謝が上がります。
新陳代謝が上がると、成長が促(うなが)されるだけでなく、病気にも罹(かか)りにくくなりますし、病気の回復も早くなります。
このように、エアレーションで水槽内に酸素を送ることは、水槽の環境を整え、熱帯魚などの生体の成長と健康に大きなメリットをもたらします。
ベタの呼吸だけに関して言えば、肺呼吸ができるのでエアレーションは必要ないでしょう。
ですが、水槽内の環境を整えるという意味では、エアレーションがあった方が良いと言えます。
ベタ水槽のエアレーションにおすすめ商品5選
ベタ水槽にエアレーションを設置しようとした時、どのようなものを選べば良いのでしょうか。
今回は多くの方がベタ飼育で利用する水量の、2~5リットル程度の水槽におすすめの商品を5つご紹介します。
- スドー バブルメイトS103–I
- 寿工芸 バイオミニフィルター
- スドー ベタのフィルター(スポンジフィルター)
- GEX(ジェックス) ピコロカ(底面フィルター)
- GEX(ジェックス) ロカボーイコンパクト(投げ込み式フィルター)
このほか、エアポンプとチューブが別途必要になります。
エアポンプは「水作 水心 SSPP–3S」などが、音が静かでエアー量の調節もできておすすめです。
ただエアーを出すだけならば、「スドー バブルメイトS103–I」のようなエアーストーンで十分です。
気泡が小さいので水流が発生しにくくベタにも優しいです。
ベアタンクで水換えも全量換水するなどして、シンプルに管理したい場合はエアーストーンで十分でしょう。
そうではなく、濾過バクテリアを意識した水作りをしながらエアレーションしたい場合には、エアーストーンでは不向きです。
その場合には、フィルターでエアレーションを行いましょう。
「寿工芸 バイオミニフィルター」は、ベタなどの小型魚に優しい柔らかな水流が特徴のフィルターです。
高性能セラミック濾材バイオボールが入っていて、濾過バクテリアの住処になり、増殖を助けてくれます。
物理的な濾過力はそれほど強力とは言えませんが、エアレーションを行うには十分な性能です。
「スドー ベタのフィルター」は、2リットル程度の水槽に使える小型のスポンジフィルターです。
名前の通り、強い水流が苦手なベタを考えて作られた商品なので、優しい水流が特徴。
キスゴムで水槽壁面に付けるだけで簡単に使えます。
スポンジ部分がバクテリアの住処になるので、ベアタンクでも濾過バクテリアの効果を実感することができます。
あまり高さが無い、2リットル程度の小さな水槽で重宝するスポンジフィルターです。
底砂を敷いている水槽ならば、底面フィルターによるエアレーションもおすすめです。
「GEX ピコロカ」は、小さい水槽に入れることができる極小の底面フィルターです。
モーターだけでも十分に使うことができますが、ベースフィルターをつけることで濾過力がアップします。
このベースフィルターが丸型をしているので、今まで底面フィルターを入れるのが難しかったボトルアクアにも使えるのが大きなポイント。
水流を調節することが出来ますので、最小にすることで比較的弱い水流にする事も可能です。
また、吹き出し口の向きを横向きだけではなく、上向きにすることも出来ます。
水流を最小にしても強いと感じたら、吹き出し口を上向きにして湧き水風にしてみると良いでしょう。
本体がかなり小さい上に、12リットルまでの水槽に適応しているので、ベタなどの小型魚を飼育する幅広い水槽に使えます。
次にご紹介する「GEX(ジェックス)ロカボーイコンパクト」は、投げ込み式のフィルターです。
いわゆる「ぶくぶく」ですね。
8リットル以下の小さな水槽に適したフィルターです。
四角い形をしているので水槽のコーナーにピタッとはまり、収まりが良くスッキリ使えます。
ベタは驚いた時などに、フィルターやヒーターなどの物陰に隠れる事があります。その時、体やヒレを引っ掛けて傷つくケースがあるので、なるべく余計な隙間は作りたくありません。
ロカボーイコンパクトは、フィルターと水槽の壁面との間に、余計な隙間が出来にくいので、ベタが挟まる心配が少ないです。
吹き出すエアーの泡は、小型のエアストーンに比べると大きいですが、それでも優しく水面を揺らす程度なので、ほとんど水流が起こらず、ベタ水槽でも安心して使えます。
濾過材の交換やメンテナンスも簡単なので、かなりおすすめな商品です。
以上、ベタ水槽のエアレーションにおすすめの商品を5つご紹介しました。
飼育環境やレイアウトを考慮して、適した商品を選んでみてください。
ベタの酸素不足解消におすすめの商品3選
「エアレーションまでは入れたくないけれど、少しの間ベタの酸素不足を解消したい。」
そのような場合には「酸素を出す石」を使ってみてはいかがでしょうか。
常時使うのはお勧めしませんが、一時的な酸欠防止に使うのならおすすめです。
- 「ニチドウ 酸素を出す石」
- 「ニチドウ ベタのための酸素を出す石」
- 「GEX お魚ぶくぶくブロック」
などの商品があります。
ニチドウの「酸素を出す石」と「ベタのための酸素を出す石」の違いは、カルキ抜きの石が付いているかどうかです。
ベタのための酸素を出す石には、「酸素を出す石」と「カルキ抜きの石」の2つが入っています。
すでにカルキ抜きしてある水を水槽に入れる場合には、「酸素を出す石」を使えば十分です。
ニチドウの酸素を出す石は1リットルに対し1個必要ですが、「GEX お魚ぶくぶくブロック」は5リットルに1個なので、水量が多めの水槽には「GEXお魚ぶくぶくブロック」の方がおすすめです。
酸素を出す石は、水量に対してたくさん入れすぎたりすると、水質が変化してしまうことがあるので、しっかりと用法を守り正しく使ってください。
また、長期的に酸素の供給をしたいのならば、酸素を出す石よりも、エアーストーンやフィルターでのエアレーションの方がコストパフォーマンスが良いので、これらの方法に切り替えることをおすすめします。
ベタのエアレーションと酸素の関係まとめ
- ベタはラビリンス器官を持っているためエラ呼吸以外の空気呼吸ができる
- ベタは特殊な呼吸ができるので必ずしもエアレーションが必要なわけではない
- エアレーションで強い水流が生まれるとベタのストレスになる
- エアレーションと酸素は水槽内の環境を整え水を汚れにくくしてくれる
今回はベタのエアレーションと酸素の関係についてご紹介しました。皆様のベタ飼育の参考にしていただけると幸いです。