水槽水面に現れる白い膜 油膜の発生原因と対策!ベタやメダカに害はない?

2020年4月23日

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水面に浮かぶ油膜

水槽に白い膜が発生する原因はなに?

アクアリウム水槽に現れる油膜はベタやメダカなどには害はない?

立ち上げ初期の水槽は油膜が発生しやすい?

水槽を掃除したら油膜が発生した?

エアレーションを行うと油膜の除去ができる?

キッチンペーパーやティッシュで水面の油膜が取れる?油膜の取り方は?

こんな水槽水面に現れる油膜の原因と除去についてご紹介いたします。

水槽に白い膜 油膜が発生する原因

水槽水面に発生するギラギラした白い膜のようなもの、通称「油膜」などと呼ばれていますが、何故このような状態になるのでしょうか。

水面の油膜の発生原因とその除去・対策についてご紹介いたします。

アクアリウムでは通称「油膜」と呼ばれていますが、水槽内に油分を持ち込んだ訳ではなく、油膜の成分の多くはタンパク質です。

タンパク質が水面を覆い尽くした結果、水中から酸素が逃げ出せずに泡のように残る事もあります。

油膜の原因となるタンパク質は生物由来の有機物で、水槽内では生態の死骸、餌の食べ残し、バクテリアの死滅、枯れた水草などあらゆるものから生成されていきます。

水槽内ではバクテリアによる分解過程はよく知られており、上記物質をバクテリアが分解してアンモニアが生成され、その後亜硝酸、硝酸塩へと変化していくのですが、その前の過程で実はタンパク質が生成されています。

水槽内に蓄積した有機物からタンパク質が生成され、そのタンパク質からアミノ酸、アンモニアへと変化していくのですが、このタンパク質が過剰に生成されて水面に浮いている状態がアクアリウムの世界で言われる油膜です。

大きめの水槽に底床や濾過フィルターをしっかり設置していると生物濾過が機能しやすいため油膜は発生しにくくなります。

逆にベタ飼育などのように小さな容器でベアタンク方式を採用している環境は油膜が発生しやすい環境と言えます。

ベタに与えた餌が底に沈澱しても分解してくれるバクテリアが存在しないため有機物が腐敗しやすい。

ベタは濾過フィルターの水流が苦手なため、あまり強い濾過ができない。

このような条件はまさしく油膜が発生しやすい条件といえます。

ベタ飼育では油膜とは別に水槽内に白いモヤモヤしたものが現れることがありますが、これは油膜ではなくベタの粘膜剥離です。

アクアリウム水槽に現れる油膜はベタなどに害?

水面に現れる油膜が油ではなく、タンパク質を主成分としていることはわかったけれど、油膜はベタやメダカなどの生体に害はないのか?

水面に油膜が現れてしまうとこのような心配がでてくるものです。

「油膜が発生=ベタやメダカなどの生体がすぐに死んでしまう」ということはありません。

よって直接大きな害になることはありません。

ただし、油膜が水面を覆い尽くしている状態が長く続くと次のような問題が出てしまいます。

  • 水面でガス交換ができなくなるため水上から酸素を取り込みにくくなる。
  • 水面を油膜が覆っていることにより水中に光が届きにくくなる。
  • コケが生えやすくなる。
  • 水質が悪化しやすくなる。

水面では常に二酸化炭素や酸素が出入りをするガス交換が行われています。

この効果により水中の酸素量は保たれています。

しかし水面を油膜が覆ってしまうとその働きが鈍ってしまいますので生体によって良いことではありません。

また、光が水中に届きにくいことも水草や植物プランクトンの成長に支障をきたすため、結果的に水中の浄化が進まなくなります。

水面に油膜があるということは水中にも過剰なタンパク質が存在しています。

そのタンパク質が徐々に分解されていくことによりコケの栄養となってコケが生えやすくなってしまいます。

このように油膜は生体に直接害がなくても水槽の環境を悪化させていくため、長期的には害になるものなのです。

立ち上げ初期の水槽は油膜が発生しやすい

立ち上げ初期の水槽には濾過バクテリアがあまり繁殖していませんので、そのような環境に多くの有機物が蓄積すると生物濾過が上手く働かずにタンパク質が蓄積し、油膜として現れてしまいます。

そのような状態を防ぐには幾つかの方法があります。

  • 餌を与えすぎない。
  • 死んでしまった熱帯魚はすぐに取り出す
  • 生体の数を抑える
  • 夏の高水温時期の水槽立ち上げは避ける

餌の与え過ぎは食べ残しの原因となり、水槽内に沈殿した食べ残しの餌がやがて腐敗して油膜の原因となってしまいます。

よって熱帯魚の様子を見ながら餌はできるだけ控えめに与え、回数を増やすなどして対応するようにしましょう。

また食べ残しや糞はこまめに吸い取ってあげることで水質の悪化を遅らせることができます。

水換え時に水槽の中層から水を汲み出すよりもプロホースなどの掃除アイテムを上手く利用して水槽の底に溜まった食べ残しや糞などをしっかり吸い出すようにすると効果的です。

出来れば避けたい事ですが、水槽立ち上げ当初は生態が死んでしまう確率が高くなるものです。

そのような時にはそのまま放置せずにすぐに取り出すようにしましょう。

また枯れた水草なども腐敗してしまいますので早めに取り出すようにしましょう。

水槽立ち上げ当初はまだ生物濾過が上手く機能していませんので、過剰な生体投入は排泄物の増加などから考えてもやはり得策とは言えません。

生物濾過が上手く機能するまでは生体の数を抑えましょう。

夏場の高水温は水中の溶存酸素量を著しく減少させるため、バクテリアの活動を鈍らせる事もあります。

さらには高めの水温は有機物の腐敗を早めるために油膜の発生率も高くなりますので、やはり水温が安定しやすい季節に水槽を立ち上げるのも油膜対策の一つと言えるでしょう。

水槽を掃除したら油膜が増えた

立ち上げ初期は問題なかったのですが、水槽を掃除してから数日で急に油膜が発生し水槽水面に泡が残るようになってしまったなどと言った事例もよく耳にします。

これは水槽の掃除の仕方に問題があり、濾過バクテリアを死滅させてしまっている可能性があります。

この問題は水槽立ち上げ当初の油膜よりも厄介で水槽掃除の仕方を見直さない限り無くならない問題です。

このケースの場合の油膜の原因はバクテリアの死滅によりバクテリアの死骸から発生するタンパク質です。

何故バクテリアが死滅してしまったのでしょうか?

この疑問の答えに油膜発生原因の対策のヒントが隠されています。

考えられる原因は幾つかあり、まずは水道水で濾過槽を掃除してしまう事です。

これは水道水に含まれる塩素によりバクテリアがダメージを受けてしまった結果であり、バクテリアが上手く繁殖していた水槽ほどそのダメージは大きく沢山の油膜が発生してしまいます。

このような事態を避ける為にも濾過槽の掃除は水槽の水をくみ出したもので軽く濯ぐ程度にしましょう。

次に考えられる原因が濾過槽内の酸欠です。

水槽掃除のときには濾過フィルターの電源を切ってしまう事が多いですがこの時、特に外部フィルターなどの密閉式濾過フィルターを使用している場合にはフィルター内が酸欠状態になってしまいます。

フィルター内には多くのバクテリアが住み着いており、水の流れとともに供給される酸素を利用していますが、水の流れが止まる事で酸素の供給もストップしてしまいます。

その結果、時間の経過とともに酸素が減少し最悪の場合酸欠状態となりバクテリアが死滅してしまうのです。

このような事態を避けるためにも掃除の際には外部フィルターの水を抜き、日の当たらない涼しい場所に置いておきましょう。

濾過フィルター内が適度に湿っていれば水を抜いた状態でも問題ありませんが出来る限り掃除の時間は短くし、早めにフィルターを回せるように心がけましょう。

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水草水槽で発生する油膜

水草水槽では熱帯魚のみの水槽よりも油膜発生の確率が高くなるものです。

その理由として底砂には微生物の棲みつきやすいソイルなどを使用し、二酸化炭素が逃げ出す事を抑える為に外部フィルターを使用します。

生物濾過を主体とするネイチャーアクアリウムなどではバクテリアの数も普通のアクアリウム水槽より多いですのでちょっとした環境の変化によりバクテリアがダメージを受ける事も増えてしまいます。

また水草のトリミングなどにより水槽内の環境が著しく変化する事もあります。

このように油膜が発生する要因を多く抱えている水槽とも言えますが、逆に多少油膜が発生しても生物濾過をしっかり確立してあれば一時的な発生で抑えられ、時間の経過とともに水はクリアーになっていきますので深刻になる事はありません。

エアレーションと油膜

油膜発生時にエアレーションを行うことは根本的な解決策にはなりませんが、 効果があるのは事実です。

その理由としてエアレーションを行う事により水面に漂う油膜を拡散させる効果があります。

水槽内から油膜の成分が減る訳ではありませんが、水面を覆い尽くしている状態を少しだけ改善することはできます。

また油膜発生の原因が水槽内の溶存酸素量不足によるバクテリアの死滅である場合には、エアレーションにより酸素を供給できますので非常に効果的な方法と言えるでしょう。

キッチンペーパーやティッシュを使った油膜除去

水面を覆いつくす油膜を取る方法にキッチンペーパーやティッシュを使用した除去方法があります。

この方法は根本的な油膜の対策にはなりませんが、水面の油膜を取り除くことで油膜を減らし、水槽内への影響を軽減させることはできます。

キッチンペーパーを水面に浮かべて油膜を吸いとる方法とザルのようなものにキッチンペーパーを敷き、水面を救うようにこし取る方法があります。

この方法はちょっとした油膜の発生には効果的ですが、油膜の発生量が多い水槽では骨の折れる仕事になってしまうかもしれません。

一時的に油膜を除去できても数時間後に水槽を覗いてみると「また油膜・・・」、そんな時には油膜取りアイテムを有効利用するようにしましょう。

油膜取りアイテム サーフェーススキマー

油膜の発生原因の対策と同時に油膜除去を行うことは効果的です。

油膜除去の際にはサーフェーススキマーなどの油膜除去用品を活用するといいでしょう。

サーフェーススキマーは水槽水面近くに設置することにより水面の油膜を除去してくれる優れものです。

油膜の除去と対策の考え方まとめ

油膜が発生すると取り方や除去方法を教えてくださいといった質問をよく見かけます。

しかし、先にも述べましたように油が水槽内に混入したわけではなく、発生原因はその水槽にある事を認識しなければなりません。

水面に漂う油膜を一時的に取る方法はいろいろありますが、油膜の原因物質は水中にも沢山浮遊しています。

よって水面のものを取り除いても時間の経過とともにまた水面に漂うようになってしまいます。

油膜対策は根本的な原因を究明し、その原因が時間の経過とともに解決するものなのか、それとも何かしらの手を打たなければ改善されないものなのかを見極める必要があります。

ご自身の水槽管理において考えられる問題を洗い出し、一つずつ改善していけばいつの日か油膜の発生しない水質の安定した水槽になる事でしょう。

予備知識として熱帯魚の中ではブラックモーリーなどが食べることも知られていますが、油膜対策の為だけに飼育するような事は考えずにブラックモーリーが好きで飼育するのであれば問題はありません。

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