ベタはエラ呼吸以外にエラを使う?
ベタがエラを開くのは何かのサイン?
ベタのエラが充血して赤いのは病気?
ベタのエラ病とは?
こんなベタのエラの異変とエラに発症するエラ病についてご紹介いたします。
ベタの病気についてはこちらのまとめ記事をご覧ください。
ベタはエラ呼吸以外にエラを使う?
ベタなどの魚類は、エラを使って呼吸をします。
エラには呼吸以外にも機能があるのですが、ベタの場合はエラ呼吸以外でエラをどのように使っているのでしょうか。
ベタの特徴的なエラの使い方は「フレアリング」です。
フレアリングとはベタが見せる「威嚇行動」です。オスのベタは威嚇の他に、メスへの「求愛」の際にもフレアリングを行います。
ヒレを大きく広げるとともに、鰓蓋(えらぶた)も左右に大きく広げます。
呼吸やフレアリングで使う以外にも、エラには次のような働きがあります。
- 浸透圧の調整
- アンモニアの排出
エラには、体の中と水との間で塩類のやりとりをして、体内の浸透圧を一定に保つ働きがあります。
ベタのような淡水魚の場合には、水中の塩分を積極的に体内に取り込むことで体の浸透圧を維持します。
浸透圧の調整は魚の健康維持に欠かせない重要な役割です。
エラはアンモニアの排出も行なっています。
食べ物でタンパク質などを摂取すると、体内でアンモニアが発生します。このアンモニアは毒性が強く体に害があるので、糞や尿として体の外に排出します。
ベタなどの魚は糞や尿に加え、エラからもアンモニアを排出しています。
このように、ベタなどの魚にとってエラは、生命維持に欠かせない重要な役割を担っているのです。
ベタがエラを開くのは何かのサイン?
ベタが鰓蓋を大きく開くのは、フレアリングをする時です。
フレアリングはベタが次のような状態の時に行います。
- 外敵などを威嚇している
- メスのベタに求愛する
- 何かに興奮している
フレアリングは基本的にオスのベタが行います。
オスのベタは自分の縄張りを持っているので、縄張りに外敵が侵入した際などに、ヒレとエラを大きく広げるフレアリングで威嚇して追い回します。
このため、オスのベタは単独飼育が基本です。
メスのベタは混泳できるのですが、たまにメスのベタでも気の強い個体がいて、威嚇行動を取る時があり、他のメスのベタを追い回すことがあります。
オスのベタはメスのベタに求愛する時もフレアリングしてアピールします。
また、何かに興奮した際もフレアリングします。
例えば、餌がもらえそうな時の「餌くれダンス」などがそうですね。
このように、ベタのエラはフレアリングの度に頻繁に開いて広がります。
ですが、常にエラが開いた状態の場合は、病気や寄生虫、外傷が原因で異常が起きているサインの可能性があります。
病気や寄生虫の感染の場合には治療が必要になるので、ベタの様子におかしなところがないかチェックしましょう。
ベタのエラが充血して赤いのは病気?
「ベタがエラを広げたところを覗いてみたら、エラが充血したみたいに赤い! これって病気?」
結論から言うと、エラが赤いのは病気ではありません。正常な証拠です。
ベタなどの魚のエラの内側は真っ赤な色をしています。
この部分は鰓弁(さいべん)と呼ばれるところで、人間でいうところの肺のようなところです。
鰓弁は血管が多く張り巡らされていて、血液量がとても多い場所です。
多くの血液が集まるこの場所で、二酸化炭素を排出し酸素を取り込む「ガス交換」をしています。
血液量が多いため、充血したような真っ赤な色をしています。
なので、真っ赤なのは新鮮な血液が滞(とどこお)りなく循環している証拠です。
エラに異常が起こると、鮮明な赤色がくすんで赤黒くなったり、白っぽくなったりします。
また、エラが腫れて閉まりづらくなる事もあります。
このような場合には病気や寄生虫の感染が疑われます。
綺麗な赤色は健康な証拠ですので安心してください。
ベタのエラ病とは?
エラは血流量が豊富な上に、複雑に入り組んだ構造をしているので、細菌などが繁殖しやすく、病気にかかりやすい場所だと言われています。
このエラに発症する病気に「エラ病」というものがあります。
ベタに発症するエラ病とはどのようなものなのでしょうか。
エラ病とは特定の病気の名前ではありません。エラに発生する病気を総称してエラ病と言います。
エラ病の原因として次のようなものが挙げられます。
- アンモニア中毒
- 病原菌感染
- 寄生虫
エラが開かなかったり動いていない場合はアンモニア中毒の可能性があります。
餌の食べ過ぎや飼育水の汚れによってアンモニア濃度が上昇することで症状が現れます。
アンモニア中毒になると、エラが動かないなどの他に、鰓弁が白や赤黒い色になります。
治療方法としては、水を全換えして0.5%の塩分濃度での塩浴をします。
水温もベタの適温である26℃程度にして様子を見ましょう。
よほど重症でなければ、全換水で原因物質であるアンモニアを取り除いてあげることで回復が見込めます。
予防としては、餌を与えすぎないことと、適切な頻度で水換えすることです。
エラ病の原因として代表的なのは、「病原菌」や「寄生虫」の感染です。
- カラムナリス菌
- ダクチロギルス
- ギロダクチルス
これらの病原菌・寄生虫が原因となります。
カラムナリス菌は「尾ぐされ病」などを引き起こす病原菌です。
カラムナリス菌は水中に常にいる常在菌で、ベタが健康な時には感染しません。
体調を崩し免疫力が落ちた時に感染して発症します。
カラムナリス菌にエラが侵されると、エラに白い物がついて腫れているように見えます。
エラ病は寄生虫によっても引き起こされます。
ダクチロギルスやギロダクチルスなどの寄生虫がエラに寄生することで発症します。
これらの寄生虫がエラに寄生すると、エラが閉まらず開いたままになったり、鰓弁の色が赤黒くなったりします。
また、ベタがエラを痒がって水槽面などに擦り付けるような動きを見せます。
このほか、エラ病にかかると次のような症状が現れます。
- エラの動きが鈍くなるor早くなる
- 水面近くで口をパクパクする(鼻上げ)
- 動きが鈍く弱々しくなる
病原菌や寄生虫が原因のエラ病は、最終的にエラが腐ったように変色して機能が落ち、呼吸困難によって死んでしまいます。
また、エラ病は進行が早いので、見つけたらすぐに治療することが大切です。
「ベタは肺呼吸もできるはずなのに、エラの機能が落ちるとどうして呼吸困難になるの?」と、疑問に思うかもしれません。
確かにベタはラビリンス器官によって肺呼吸で酸素を取り込むことができます。
しかし、全ての酸素供給をラビリンス器官でまかなえるわけではありません。
また、エラが侵されることで二酸化炭素の排出がうまくできないことも問題です。
呼吸とはガス交換です。体内の二酸化炭素を体外に排出し、新たな酸素を体内に取り入れます。
二酸化炭素が十分に排出されないと、いくら空気を吸い込んでも、酸素が体の中に取り込まれなくなってしまうので、結果的に酸欠になってしまうのです。
そのため、ラビリンス器官をもつベタも、エラが侵されたら酸欠で死んでしまいます。
エラ病は進行が早いので、見つけたらすぐに治療を開始しましょう。
エラ病の治療の基本は「塩浴」です。
塩浴が効く理由は次の2つです。
- 体力を回復させ自然治癒力を高める
- 病原菌や寄生虫の排出を促す
魚の体内の塩分濃度に近い、0.5%の塩分濃度の塩水で塩浴させることで、浸透圧の差を緩和します。
これによりベタの負担を減らして体力を回復させ、自然治癒力を高めて、病気の回復を促進させます。
塩浴は少なからず粘膜を剥がしてしまいます。
ですが、エラ病の場合はこの効果がプラスに働きます。
鰓弁にとりつた病原菌や寄生虫を、塩浴の影響で剥がれた鰓弁の表面の粘膜と一緒に、エラから排出する効果が期待できるのです。
塩浴にはこれらの効果があるので、エラ病治療の第一選択となります。
塩浴での治療中は、毎日新しい0.5%濃度の塩水と全換水します。
塩浴で治らない場合には、薬浴を行います。
エラ病は進行が早いので、塩浴で2~3日様子を見ても症状の改善が見られない場合には薬浴に切り替えましょう。
薬は「グリーンFゴールド顆粒」か「エルバージュ」がおすすめです。
エラ病はなによりまず予防が大切です。
餌の量や水換え頻度を見直して、ベタがエラ病に罹りにくい環境を整えてあげましょう。
ベタのエラの異変まとめ
- ベタはフレアリングでエラを広げて使う
- エラには呼吸以外にも浸透圧調節やアンモニア排出の機能がある
- エラが赤く見えるのは正常だが、赤黒かったり白くなるのは異常
- エラ病は病原因や寄生虫の感染などで発症するエラの病気の総称
今回はベタのエラの異変とエラに発症するエラ病についてご紹介しました。皆様のベタ飼育の参考にしていただけると幸いです。